日本の中世社会において,封建領主によって農民に賦課された長期間にわたる夫役。荘園領主は,〈都へ人を上せてつかはせ参らするを,ながふとは申なり〉(《物ぐさ太郎》)のように,農民を地方の荘園からの年貢などの荷物運搬や,領主邸宅の警衛,雑役勤務などに駆使した。長夫は大きな負担であったから,農民たちは,〈京都の長夫を召仕せらるるの事,往古まったくもって,かくのごときの御例これなし,百姓等歎申すの愁訴なり〉(《東寺文書》)と,これの軽減を要求して闘った。地頭などの在地領主も,田起し,算取りなどの農作業に,長期にわたって領内の農民を使役した。農民らは,これを地頭の非法として鎌倉幕府に訴えたので,幕府は,農繁期における労働力収奪を制限した。室町・戦国期において,内乱状況が継続したときには,守護や戦国大名は陣夫などと称して,長期間,農民を戦場へかり出すこともあった。
執筆者:佐藤 和彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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