長尾寺跡(読み)ながおじあと

日本歴史地名大系 「長尾寺跡」の解説

長尾寺跡
ながおじあと

[現在地名]伊吹町大久保

伊吹山麓の標高約二三〇メートルにあった寺院。現存しない。長尾護国寺ともいい、沙門三修が開基したと伝える伊吹山護国寺(伊吹山寺)から分立した四護国寺の一つ。もと法相宗、のち真言宗。現在は跡地の一画にある惣持そうじ(かつての長尾寺四九坊の一)が当寺の寺基を継ぐ。創建年代は不明だが、大原おおはら観音寺(現滋賀県山東町)蔵の木造伝教大師坐像の胎内銘に、貞応三年(一二二四)一一月一八日の年紀と「大仏師長尾寺住大乗」とあり、これ以前から存在したことは確実である。徳治三年(一三〇八)四月一〇日の伊福貴山弥高太平両寺衆僧和与状(大原観音寺文書)によると、伊福貴いぶき(現伊吹町伊夫岐神社)の一切経会所作人一三人のうち、当寺は三人が勤めることになっている。

嘉暦二年(一三二七)一月二二日、後醍醐天皇が中宮藤原禧子の安産祈祷(実は北条氏滅亡の祈祷)を命じた令旨(大原観音寺文書)が伊福貴神社の神主宛に出されているが、そのなかに弥高やたか寺・観音寺(現伊吹町)とともに当寺の名もみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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