令旨(読み)リョウジ

デジタル大辞泉 「令旨」の意味・読み・例文・類語

りょう‐じ〔リヤウ‐〕【令旨】

皇太子三后命令を書き記した文書。のち、親王法親王女院などのものもいう。れいし。

れい‐し【令旨】

りょうじ(令旨)

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精選版 日本国語大辞典 「令旨」の意味・読み・例文・類語

りょう‐じリャウ‥【令旨】

  1. 〘 名詞 〙 公式様(くしきよう)文書の一つ。皇太子ならびに三后(太皇太后皇太后皇后)の命令を伝えるために出される文書。後には親王・法親王・王・女院などの皇族から出される文書をもいう。平安時代以降の令旨の様式綸旨・御教書と同様に奉書形式で、書留文言に「令旨」の語が含まれることが多い。れいし。
    1. [初出の実例]「皇太子令旨、如聞、道鏡法師」(出典:続日本紀‐宝亀元年(770)八月庚戌)

れい‐し【令旨】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「れいじ」とも ) =りょうじ(令旨)
    1. [初出の実例]「高倉宮の令旨(レイシ)を給て」(出典:延慶本平家(1309‐10)一本)
    2. [その他の文献]〔金史‐章宗紀・一〕

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改訂新版 世界大百科事典 「令旨」の意味・わかりやすい解説

令旨 (りょうじ)

皇太子の言詞あるいはその意を奉じた文書。三后(皇后,皇太后,太皇太后)のものもこれに準ずる。公式令の令旨式によると,令を受けた人が春宮坊(とうぐうぼう)に口頭で伝え,春宮坊から文書にして皇太子(三后)に施行の許可を求める。これに対し皇太子(三后)みずから日付を書き加えることになっていた。これは正文として保管され,さらに1通を写して施行する。施行の方法は,春宮坊(中宮職)の(げ)によって太政官(だいじようかん)へ上申される場合と,その他の諸司へ(い)または(ちよう)によって伝達される場合とがあった。また,公式令勅旨式条には,天皇の行幸(ぎようこう)などにより皇太子が留守をあずかる皇太子監国の際には,勅旨式に準拠して令旨を発行すべき規定がある。《続日本紀》の宝亀元年(770),《類聚三代格》の延暦25年(806)の令旨は,いずれも先帝崩後の時期に属し,かつ国政上の重要な内容のものであるから,勅旨式に基づく令旨であると考えるべきであろう。なお後世には,女院および親王・諸王の命令をも令旨と称した。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「令旨」の意味・わかりやすい解説

令旨
りょうじ

皇太子、皇后、皇太后、太皇太后の命令を伝えるため発行された文書。公式令(くしきりょう)に書式の規定がみえるが、この種の令旨は現存せず、平安時代以降盛んとなった奉書様式の令旨が伝存している。またこのころから、親王・女院(にょいん)や、仁和寺(にんなじ)・延暦寺(えんりゃくじ)などの門跡(もんぜき)となった皇族、准三后(じゅさんごう)の出す文書や、摂関家ほかで発行した宣旨(せんじ)様式の文書も令旨とよばれた。現在、南北朝時代に活躍した南朝方の親王発給の令旨が多く残っている。

[百瀬今朝雄]

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百科事典マイペディア 「令旨」の意味・わかりやすい解説

令旨【りょうじ】

古文書の一つ。皇太子・三后(太皇太后,皇太后,皇后)・中宮・親王の命を伝える文書。奈良・平安時代のもので伝わるものは少なく,中世には奉書の形のものが多い。なお出家して延暦寺や仁和(にんな)寺等の門主(もんす)になった皇族が出す文書,また女院の出す文書も令旨という。
→関連項目以仁王

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「令旨」の解説

令旨
りょうじ

皇太子および三后(皇后・皇太后・太皇太后)の命令・意志などを伝達する文書。律令制下では公式令(くしきりょう)に令旨式が規定された。発給手続きは皇太子などの意向をうけた者がそれを春宮坊(とうぐうぼう)に伝達し,春宮坊は皇太子などに返事をし,画日(かくじつ)をへたうえでさらに1通を写して施行することになっていた。平安時代後半になると,皇太子・三后・女院・親王などの意向をうけた近侍者の名で発給された奉書形式の令旨が行われるようになった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「令旨」の意味・わかりやすい解説

令旨
りょうじ

皇太子,三后 (太皇太后,皇太后,皇后) ,親王,内親王,女院,仏門に入った皇子が意を下達するときの奉書形式の文書。平安時代後期以降のものが伝わる。

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旺文社日本史事典 三訂版 「令旨」の解説

令旨
りょうじ

律令制下,皇太子・三后(太皇太后・皇太后・皇后)の命令を伝えた文書
平安中期以後,親王・女院・諸王の出す文書も令旨と呼ばれた。平氏打倒の挙兵を呼びかけた以仁王の令旨が有名。

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世界大百科事典(旧版)内の令旨の言及

【公家様文書】より

…また上卿から外記(げき)に命じて発給させる外記方宣旨,上卿から弁に命じ,弁から史に命じて作成される弁官方宣旨,遥任の国司や大宰帥が多くなったため,在国の官人に国司や帥の命を伝える国司庁宣,大府宣もこの系統である。公家様文書溯源の第2は,私文書たる書状の系譜を引くもので,綸旨(りんじ),院宣,令旨(りようじ)(公式様とは別),御教書(みぎようしよ),長者宣などである。貴人の側近に仕える人(天皇の場合は蔵人,上皇の場合は院司)が主人の仰せを承り,書状の形式で相手に伝えるもので,本来私文書であるが,仰せの主体の権威がそのまま文書の効力に機能した。…

※「令旨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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