語源は明らかでない。「拾遺‐雑下」に、「夜昼の数はみそぢにあまらぬをなど長月といひはじめけむ」「秋深み恋する人のあかしかね夜を長月といふにやあるらん」とした、伊衡と躬恒との問答の歌があり、また、夜がだんだん長くなるから「夜長月」というのを誤ったものだと、「奥義抄」にあるので、このような語源解が中古以来広く信じられていたことがわかる。ほかに、稲熟月(いなあがりつき)、稲刈月(いなかりづき)、穂長月(ほながづき)などの変化したものとする説もある。折口信夫によれば、五月と九月とは長雨の時季で、「ながめ」と称する物忌(ものいみ)の月だという。ちなみに、中古には、九月は婚姻や洗髪を忌む月とされていた。
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