日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
長期使用製品安全点検・表示制度
ちょうきしようせいひんあんぜんてんけんひょうじせいど
製品の経年劣化による事故を防ぐため、安全点検の通知や製品寿命の表示を製造業者などに義務づける制度。2000年代に入り、長期間使用して劣化した石油温風暖房器やガス湯沸かし器、扇風機などによる死亡事故が相次いだことを受け、2009年(平成21)4月にスタートした。「安全点検」と「安全表示」の2制度からなり、自動車の車検制度と、食品の消費期限・賞味期限制度の、それぞれの要素を取り入れた事故防止制度といえる。安全点検制度は2006年の消費生活用製品安全法の改正に、また、安全表示制度は電気用品安全法の技術基準省令の改正に、それぞれ基づいている。消費者自身の保守がむずかしく、古くなると火災や一酸化炭素中毒事故などを起こすおそれのある14品目(安全点検制度が9品目、安全表示制度が5品目)が対象で、2009年4月以降に製造または輸入された製品が該当する。
安全点検制度の対象は、長期使用で重大事故を起こすおそれのある屋内式ガス瞬間湯沸かし器(都市ガス用とLPガス用の2品目)、屋内式ガス風呂釜(同)、石油給湯機、石油風呂釜、密閉燃焼式石油温風暖房機、ビルトイン式電気食器洗浄機、浴室用電気乾燥機の9品目である。これらは「特定保守製品」に指定され、「所有者票」の添付が義務づけられる。販売業者やメーカーは製品購入者に「所有者票」を返送してもらい、住所や電子メールアドレスなどの所有者情報を管理する。製造・輸入業者には、製品寿命の目安となる「標準使用期間」が切れる前に、所有者に点検通知するよう義務づけた。
安全表示制度の対象は、重大事故発生率は高くないものの、事故件数の多い、扇風機、換気扇、電気洗濯機(洗濯乾燥機を除く)、エアコン(クーラーを含む)、ブラウン管式テレビの5品目である。家電メーカーや輸入業者に対し、製品の見やすい位置に「製造年」と「標準使用期間」を表示し、「標準使用期間を超えて使用されますと、経年劣化による発火・けが等の事故に至るおそれがあります」などの表記で注意喚起するよう義務づけた。
[編集部]