電気用品による危険および障害の発生を防止するため、その製造、販売等を規制する法律。昭和36年法律第234号。もともと「電気用品取締法」という名称であったが、1999年(平成11)に「電気用品安全法」として全面改正され、2001年に施行された。
そのシステムは、電気用品の製造または輸入の事業を行う者に届出義務を課す。届出事業者には、届出に係る型式の電気用品を製造し、または輸入する場合においては、自主検査を行い、一定の技術基準に対して適合することを確認したら、安全確認のマーク(「PSEマーク」Product Safety,Electrical appliance & materialsの頭文字)を付けることを認める。そして、特定電気用品(危険または障害の発生するおそれが多い電気用品であって、政令で定めるもの)については、登録検査機関による適合性の審査に合格して初めて「PSEマーク」を付けることができる。この表示のない電気製品の販売は禁止される。また、届出事業者の違反に対しては、経済産業大臣は改善命令を発することができ、一定の違反があれば表示の禁止を行う。違反には最高で懲役1年(個人)、罰金1億円(法人)が科せられる。
本法の施行に絡んで、2006年にいわゆるPSE問題が発生した。猶予期間が5年と定められていたシンセサイザーやアンプ、レコードプレーヤー、電源内蔵型ゲーム機、テレビ、電気洗濯機など259品目について、2006年4月以降はPSEマークがないと販売できなくなるとされ、2001年以前に製造されたAVアンプやシンセサイザーなどの名機をはじめとする中古品が、本法の本格施行により廃棄物になるとして反対運動が起こり、社会に混乱を招いた(中古品にPSEマークを付ける方法はあるが、製造事業者が自社で添付することが前提で、販売店がこれを行うのは、かなりの手間がかかる。なお、猶予期間が7年、10年のものもある)。
理論的にいえば、同法施行以前に製造された電化製品も、旧電気用品取締法の規制を受けており、安全性に変わりはないから、旧法時代の製品の販売を禁止するのは、中古業者の財産権を不合理にも大幅に制限するし、廃棄物を大量に増やすことになる。こうした背景もあり、社会問題となったので、経済産業省は2006年3月、同法の運用を緩め、PSEマークのない中古家電について、当分の間、同法の対象外とした。そして、2007年末になって、経過措置を改正し、とくに期限を設けずに、旧法に基づく表示を電気用品安全法に基づく表示とみなすこととし、旧法表示が付された電気用品については、検査を要せず、そのまま販売ができるようにした。
[阿部泰隆]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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