長沼庄(読み)ながぬまのしよう

日本歴史地名大系 「長沼庄」の解説

長沼庄
ながぬまのしよう

北は中村なかむら庄、南は常陸国境と接し、東を五行ごぎよう川、西を鬼怒川で囲まれた比較的狭い範囲で、現二宮町の西半分、明治二二年(一八八九)に成立した長沼村全域と久下田くげた町の一部を併せた地域と推定される。小山氏より分れた長沼氏の名字の地で、一二世紀後半には成立していたと思われる。庄内には、大曾おおぞ郷・さかい郷・いずみ郷・青田あおた郷・混布嶋こぶしま(古布嶋)郷・大田おおた郷、堀込ほりごめ村、わしのす(鷲巣)などの郷村があったほか、長沼城や宗光そうこう寺などがあった。

寛喜二年(一二三〇)八月一三日の長沼宗政譲状(皆川文書)に「下野国長沼庄」とみえ、長沼氏初代の宗政より嫡子時宗に譲られている。なお年未詳の久我家領目録(久我文書)に庄名がみえ、ある時期久我家領であったことが確認されるが詳しいことはわからない。弘安六年(一二八三)三月二七日長沼宗泰(法名覚源、時宗の子)の所領であった庄内の古布嶋郷が後家尼に譲られ、正安元年(一二九九)一二月六日宗泰の譲状どおり、後家が死去した後は宗秀(宗泰の孫)が知行することが確認された(「将軍久明親王家政所下文」園城寺文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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