長谷川泰子(読み)ハセガワ ヤスコ

新撰 芸能人物事典 明治~平成 「長谷川泰子」の解説

長谷川 泰子
ハセガワ ヤスコ


職業
女優

生年月日
明治37年 5月

出生地
広島県

学歴
広島女学校実科卒

経歴
表現座の女優をしていた大正12年、京都で16歳だった詩人中原中也と知り合う。劇団解散後、中原の部屋に移り、同棲を始める。14年中原と上京、間もなく中原の文学仲間であった小林秀雄を知り、中原の下を去り小林と同棲を始める。やがて潔癖性が高じて精神のバランスを崩し、昭和3年小林は単身奈良に出奔。同年松竹シネマ蒲田撮影所に入社。4年には中原と京都旅行するなど、小林との同棲後も中原と交流を持ち、中原と小林も強い文学的な結びつきを続け、後年小林は3人の関係を“奇妙な三角関係”と表現した。5年左翼の演劇青年・山川幸世の子を宿したときには中原が子どもの名付け親になった。6年懸賞“グレタ・ガルボに似た女”に当選。9年中垣竹之助と出会い同棲を始め、11年正式に結婚した。著書に中原との関係を口述した「ゆきてかへらぬ」がある。

没年月日
平成5年 4月 (1993年)

伝記
母なるもの―近代文学と音楽の場所中原中也論―中也のなかの横浜路上の櫂歌国文学・研究と散策中原中也―魂とリズム中原中也 高橋 英夫 著ゆり はじめ 著秋山 駿 著石井 茂 著長野 隆 編佐々木 幹郎 著(発行元 文芸春秋マルジュ社小沢書店風間書房有精堂出版筑摩書房 ’09’02’94’92’92’88発行)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

世界大百科事典(旧版)内の長谷川泰子の言及

【中原中也】より

…高橋新吉の影響を受けてダダイスト風の詩を試作し,また富永太郎との交遊を通じてフランス詩にも目を開かれている。25年愛人長谷川泰子とともに上京,小林秀雄を知ったが,泰子が小林と同棲するという事件が起こり,深い傷を受けた。しかし〈朝の歌〉(1926)によって詩人としての方向を自覚し,29年には河上徹太郎,大岡昇平らと《白痴群》を創刊,〈寒い夜の自我像〉などを発表して,魂の全体的な調和への希望と,それが果たされない人間の悲しみを歌った。…

※「長谷川泰子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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