日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガルボ」の意味・わかりやすい解説
ガルボ
がるぼ
Greta Garbo
(1905―1990)
1930年代のアメリカ映画を代表する大女優。スウェーデンのストックホルムの貧しい家庭に生まれる。帽子モデルからPR映画を経て王立演劇アカデミーに学び、マウリッツ・スティルレル監督『イェスタ・ベルリングの伝説』(1924)の主役で評判となる。ついでG・W・パプスト監督のドイツ映画『喜びなき街』(1925)に出演。1925年、スティルレル監督とともにハリウッドのMGMに引き抜かれて渡米、エキゾチシズムを看板にした大宣伝のもとに売り出され、『肉体と悪魔』(1927)などでたちまち人気スターの座についた。クールな顔だち、訛(なま)りのあるハスキーな声、書き立てられたゴシップ、それでいて一部謎(なぞ)に包まれた私生活が話題をよんでハリウッドに君臨する美の女王となった。『アンナ・カレニナ』(1927、再映画化1935)、『アンナ・クリスティ』(1930)、『グランド・ホテル』(1932)、『椿姫(つばきひめ)』『征服』(ともに1937)、『ニノチカ』(1939)などに出演、『奥様は顔が二つ』(1941)を最後に36歳で引退した。生涯独身を貫き、人目を避けて隠遁(いんとん)生活を送っていた。
[日野康一]
『A・ウォーカー著、海野弘訳『ガルボ』(1981・リブロポート)』