防御物質(読み)ボウギョブッシツ(その他表記)defensive substance

デジタル大辞泉 「防御物質」の意味・読み・例文・類語

ぼうぎょ‐ぶっしつ〔バウギヨ‐〕【防御物質】

生物が他から捕食攻撃を受けたり、刺激されたりしたときに放出する化学物質昆虫カエルスカンクなどの脊椎動物ほか植物にも見られる。相手を直接攻撃したり、近く同種に危険を知らせたりする役割をもつ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「防御物質」の意味・わかりやすい解説

防御物質 (ぼうぎょぶっしつ)
defensive substance

動物が他から攻撃を受けたり,刺激されたりすると,身を守るために放出する物質をいう。特に昆虫でよくみられる。昆虫は危険を探知して逃げたり,相手を攻撃したり,同種の他個体に危険の迫ったことを知らせたりするが,攻撃にさいしハチ,アリなどが刺針,大あごで行う攻撃行動と共に出す毒も防御物質の一つである。またカメムシ類,ゴミムシ類,ゲンゴロウ類,ゴキブリ類の臭腺分泌物は,防御物質としての機能を持つとみなされている。その他,テントウムシ成虫を手にとると関節間から黄色の特有な臭気のある液をにじみ出し,アゲハチョウ幼虫は,体にさわられると頭の後から二またになった角(臭角)をだして防御物質を発散する。

 昆虫以外にも,ムカデ,ヤスデが体節の側面から防御物質をにじみ出し,脊椎動物では,スカンクの臭腺分泌物,ガマの皮膚分泌物なども防御物質である。
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