日本大百科全書(ニッポニカ) 「防災対策重点地域」の意味・わかりやすい解説
防災対策重点地域
ぼうさいたいさくじゅうてんちいき
2011年(平成23)3月11日の東北地方太平洋沖地震で発生した東京電力福島第一原子力発電所事故以前に、政府が原子力災害に備えて住民避難などの対策をとると定めていた区域。原子力発電所から半径8~10キロメートル圏が該当し、英語のEmergency Planning Zoneの頭文字をとってEPZとよばれた。しかし福島第一原子力発電所事故では、EPZの外側にまで、住民の立入りなどを制限・禁止する「避難指示区域」ができた。このため日本政府は範囲を見直し、住民避難などの対策をとる地域を、原発からおおむね半径30キロメートルまでの「緊急時防護措置準備区域」(UPZ:Urgent Protective action Planning Zone)に拡大した。
防災対策重点地域は原子力事故に備え、屋内退避や避難方法の周知、連絡方法の確保、放射線モニタリング体制の整備などを求めていた地域である。原発から半径約8~10キロメートル圏のほか、核燃料再処理施設から半径約5キロメートル圏内、核燃料物質の加工施設から半径約500メートル圏内、廃棄施設から半径50メートル圏内などが目安とされていた。対象自治体は15道府県の45市町村で、域内住民は約73万人であった。EPZからUPZに地域を広げたことで、対象自治体は21道府県の135市町村、域内住民は約480万人に増えた。
[編集部 2015年10月20日]