障える(読み)サエル

デジタル大辞泉 「障える」の意味・読み・例文・類語

さ・える〔さへる〕【障える/支える】

[動ア下一][文]さ・ふ[ハ下二]
さまたげる。じゃまする。
「恋は到底痴おろかなもの、少し―・えられると、直ぐ死にたき思いになる」〈左千夫・春の潮〉
多く「気にさえる」の形で)気にさわる。
何卒どうぞお気に―・えなされず」〈木下尚江良人の自白
さわる。ふれる。
「折々手を―・へ袖を動かしけるに」〈浮・栄花一代男・二〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「障える」の意味・読み・例文・類語

さ・えるさへる【障・支・扱】

  1. 〘 他動詞 ハ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]さ・ふ 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙 ( 室町時代ごろからヤ行にも活用した。→さゆ(障) )
  2. さまたげる。邪魔する。ふせぐ。
    1. [初出の実例]「ちはやぶる 神かさけけむ うつせみの 人か禁(さふ)らむ 通はしし 君も来まさず」(出典万葉集(8C後)四・六一九)
    2. 「一生は雑事の小節にさへられて、空しく暮れなん」(出典:徒然草(1331頃)一一二)
  3. さわる。触れる。
    1. (イ) 物に、身体またはその一部を触れる。
      1. [初出の実例]「ひめがかたへ手をさへるを、扇でたたく」(出典:虎明本狂言・首引(室町末‐近世初))
    2. (ロ) ( 「気にさえる」などの形で ) 感情を害する。気にさわる。
      1. [初出の実例]「忠信殿気に障(サ)へて下さんすな」(出典:浄瑠璃・右大将鎌倉実記(1724)三)
  4. ( 支・扱 ) 争いをやめさせる。仲裁する。→さゆ(障)
    1. [初出の実例]「いさかひ扱し棒の相伴」(出典:雑俳・篗纑輪(1707))

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