改訂新版 世界大百科事典 「集団精神療法」の意味・わかりやすい解説
集団精神療法 (しゅうだんせいしんりょうほう)
group psychotherapy
集団を用い,集団メンバーの相互作用を利用した精神療法のこと。集団メンバーによる受容,集団の中でのカタルシス,相互作用による洞察のほかに,他人への愛や思いやり等の人間関係を成長させたり,集団の圧力や雰囲気を利用した訓練,学習作用もある。集団の中に家族や同胞葛藤のテーマを表現させる小集団から,操作可能な社会モデルを考えていく〈治療共同体〉までのさまざまなレベルがある。また,作業療法やレクリエーション療法のように,深い人格変容を目的としないものを単に〈集団療法group therapy〉と呼ぶこともある。集団精神療法家としては防衛的でないことが必要で,集団パニックに耐えられることが求められる。現在アメリカでは,病者よりも半健康,さらに健康な人の人格成長を目標とした集団が増加しており,日本でもその傾向が強まっている。
→精神療法
執筆者:増野 肇
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報