離騒(読み)リソウ

デジタル大辞泉 「離騒」の意味・読み・例文・類語

りそう〔リサウ〕【離騒】

《「離」は遭う、「騒」は憂え。憂えにう意》「楚辞」の代表的な長編詩。中国戦国時代屈原の詩で、讒言ざんげんによって王に追放され、失意のあまり投身を決するまでの心境夢幻的にうたったもの。

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精選版 日本国語大辞典 「離騒」の意味・読み・例文・類語

りそうリサウ【離騒】

  1. ( 「離」は遭う、「騒」は憂い憂患に遭遇する意。一説に、心中不平の意で、「牢愁」に通じる ) 中国戦国時代、楚の屈原の著わした長編詩。讒言(ざんげん)によって朝廷を追われた屈原が理想君主に会えない不運を、美人を求めてさまよう身に寓して夢幻的にうたった作品。いわゆる「楚辞」の首編で、代表作であり、その代名詞ともなっている。

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百科事典マイペディア 「離騒」の意味・わかりやすい解説

離騒【りそう】

屈原

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「離騒」の意味・わかりやすい解説

離騒
りそう

楚辞

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世界大百科事典(旧版)内の離騒の言及

【詩】より

…古い伝承によれば,《楚辞》は屈原とその弟子の宋玉らの作だという。なかでも,最も有名な〈離騒〉は,代表的な作者たる屈原が,みずからの世にいれられぬ苦悶をうたったものとして知られる。それは楚の国の歌謡をもとにした特色ある詩形を駆使し,その表現は多彩であり,華麗な比喩表現に富み,激しい感情表白をともなう。…

【楚辞】より

… 天地構造や歴史に関する疑問を列挙した〈天問〉,身体を遊離した魂を招き返そうとする〈招魂〉,山川の神々の祭歌である〈九歌〉などが楚辞の宗教的基盤をよく反映した作品だと言えよう。こうした基礎の上に,地上に入れられず,天上や神話的な異域を遊行する主人公の自叙からなる〈離騒〉が形成されて楚辞文学の頂点をなす。〈離騒〉の主人公の苦悩の背後には,従来の自足した世界から引き出され,秦の中国統一に向かう急激な社会変動の中に投げこまれた楚国の人々の苦痛が反映していると言えよう。…

【中国文学】より


[楚辞]
 戦国時代,中国南部の長江(揚子江)流域でさかえた楚の国で起こった新しい韻文文学が〈楚辞〉である。その書は漢代に編集されるが,そのおもな部分は屈原の作25編で,祭礼の舞歌(《九歌》など)と独白体の〈賦〉(《離騒》など)の2類に分かれる。前者はかつては歌唱されていたであろうが,後者は初めから朗誦されたと思われ,句形は《詩経》より長く,韻のふみかたは1句おき(隔句韻)に定まっている。…

※「離騒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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