雨衣(読み)アマゴロモ

デジタル大辞泉 「雨衣」の意味・読み・例文・類語

あま‐ごろも【雨衣】

[名]あまぎぬ」に同じ。
[枕]田蓑たみの」にかかる。
「―たみのの島にたづ鳴きわたる」〈古今・雑上〉

う‐い【雨衣】

雨にぬれないよう、身につけるもの。雨着あまぎ
「めいめい―をかぶり、雑嚢ざつのうを枕に横になった」〈大岡・野火〉

あま‐ぎぬ【雨衣】

衣服の上に羽織って雨などを防いだ衣。古くは、表に油をひいた白絹で製したという。あまごろも。

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精選版 日本国語大辞典 「雨衣」の意味・読み・例文・類語

あま‐ごろも【雨衣】

[1] 〘名〙 =あまぎぬ(雨衣)
※久安百首(1153)雑下「時雨にぬるる 袖の浦に しほたれまさる あまごろも〈待賢門院堀河〉」
[2] 雨よけに着るものの意から、「蓑(みの)」にかかる。
※古今(905‐914)雑上・九一三「なにはがたしほみちくらしあま衣たみののしまにたづなきわたる〈よみ人しらず〉」
[補注]和歌では「海人衣」「尼衣」と掛けて用いることが多い。

あま‐ぎぬ【雨衣】

〘名〙 衣服の上に羽織って雨などを防ぐのに用いる衣。古くは、表は白絹に油をひいて作り、裏は油をひかない白絹であったという。雨着。あまごろも。〔十巻本和名抄(934頃)〕
※読本・昔話稲妻表紙(1806)一「雨衣(アマギヌ)をだに身につけねば、濡衣足にまとひつきて歩みがたく」

う‐い【雨衣】

〘名〙 雨天に着る衣。あまぎぬ。あまぎ。あまごろも。
※十巻本和名抄(934頃)六「雨衣 唐式云三品以上若遇雨聴著雨衣氈帽至殿門前」 〔許渾村舎詩〕

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普及版 字通 「雨衣」の読み・字形・画数・意味

【雨衣】うい

みの。かっぱ。唐・許渾〔村舎、二首、一〕詩 自らを翦(き)りて、雨衣をる 南峰の火は、是れ柴

字通「雨」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の雨衣の言及

【雨具】より

…水を吸うと膨張し,乾燥すると縮む植物の性質を利用した蓑や笠は,雨具が洋装化する今日まで農山漁村での労働,外出に着用された。また白絹に油を引いた雨衣(あまぎぬ)は,中世の貴族たちが装束の上から着け,修験者は油紙製の雨皮(あまかわ)を用いた。雨皮は油単(ゆたん)とも呼ばれ,牛車や輿にも掛けられた。…

※「雨衣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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