俗箏の基本的な調弦法の一種。第13弦(巾(きん))の定め方によって,普通の雲井調子と本雲井調子の2種がある。《糸竹初心集》(1664)に〈又雲井の調べといふ事を此比八橋検校ひき出したり〉と述べており,いわゆる平調子(ひらぢようし)とともに八橋検校(やつはしけんぎよう)の創意になるものといわれる。八橋の13組の箏組歌では《雲井曲》だけが本雲井調子で作られている。本雲井調子は,平調子の三,八,巾の弦を半音下げ,四,九の弦を1音上げたもので,二,七の弦に宮(主音)がある。本雲井調子の巾を半音上げた雲井調子はのちの箏曲では多く用いられる。また本雲井調子は筑紫箏の口伝上無調(別名別調),雲居調(別名浮雲調)と音程関係が全く等しいが,その先後関係は確証されていない。
→箏
執筆者:三谷 陽子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…近世箏曲の調弦法は,八橋検校(やつはしけんぎよう)が筑紫箏の調弦を陰音階によるものに改めたといわれている。初めはいわゆる平調子と雲井調子(実際は今日いう本雲井調子)の2種が用いられたが,のちにいろいろな調弦法がくふうされ,現在は多数の調弦法が用いられている。この現象は近代になって調弦法を基本的調弦に整理統合した中国や朝鮮の琴・箏類の場合と逆である。…
※「雲井調子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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