精選版 日本国語大辞典 「電気分解」の意味・読み・例文・類語
でんき‐ぶんかい【電気分解】
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電解質水溶液あるいは溶融塩などのイオン伝導体に、電流を流して化学変化をおこさせることをいう。略して電解ともいう。実際には電流を流すためにイオン伝導体の中に1対の電極(金属や黒鉛などの棒状あるいは板状の導体)を挿入し、これに直流電源を接続する。電流を流すことにより、陽イオンはより電位の低いほうの電極(陰極という)のほうに、陰イオンは電位の高いほうの電極(陽極という)のほうに電気的に引かれて移動してきて、電極表面でイオンの電荷が中和され(放電)、化学変化をおこす。
たとえば、白金電極を用い食塩水を電解した場合、陽極では、
Cl- ―→ Cl+e, 2Cl ―→ Cl2↑
のように気体の塩素を発生し、一方陰極では、
Na++e ―→ Na,
Na+H2O ―→ Na++OH-+H,
2H → H2↑
となり、結局、水素イオンがナトリウムイオンのかわりに放電したのと同じ結果で、水素を発生する。
また、硫酸銅の水溶液中に1対の銅板電極をつけて電解すると、陽極上では、
Cu―→Cu2++2e
陰極上では、
Cu2++2e―→Cu
と、それぞれ金属銅の溶解(イオン化)と金属銅の析出がおこる。このように一般に、陽極においては金属が陽イオンになったり、陰イオンが原子や分子になったりする反応――酸化反応がおこり、陰極においては陽イオンが原子や分子になったり、金属として析出する反応――還元反応がおこる。電解生成物がひきつづいて得られるために必要な最小電圧を分解電圧decomposition voltageという。電解の際の電気量と生成する物質の量との間にはファラデーの法則が成立する。
電気分解は実際に工業的にも広く利用されている。そのなかには電解分析、電気冶金(やきん)、電解研摩、電気めっき、電解コンデンサーの製造など、また食塩水の電気分解による塩素およびカ性ソーダ(水酸化ナトリウム)の製造などがある。
[戸田源治郎]
電解ともいう.外部電源から電流を供給することにより,主として水溶液,溶融塩中で化学反応を自由エネルギーの増大する方向に進行させる操作.化学反応をアノード反応(電子を放出する反応)とカソード反応(電子を受けとる反応)に分け,それぞれアノード(陽極),カソード(陰極)で起こるように設定すると電池が構成される.電池反応では,自由エネルギーの減少する方向に反応が進行し,外部に電流を供給する.すなわち,電解反応は,電池反応の逆反応である.また,電池の起電力(開路電圧,open circuit voltage)は,電解に必要な最小電圧であり,理論分解電圧(theoretical decomposition voltage)とよばれる.また,理論分解電圧を操業槽電圧で割ったものは電圧効率,さらに電圧効率に電流効率を乗じたものは電力効率とよばれ,おもに工業電解技術者により用いられている.[別用語参照]ファラデーの法則
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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…電池系に電流を流して電気分解を進行させるには,電池を構成している各電極系の電極電位を平衡時の値(平衡電極電位)からずらさなければならない。すなわち,電極系の平衡を破らねばならない。…
※「電気分解」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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