電子メール(読み)でんしめーる(英語表記)electronic mail

翻訳|electronic mail

日本大百科全書(ニッポニカ) 「電子メール」の意味・わかりやすい解説

電子メール
でんしめーる
electronic mail
e-mail

インターネットを使って、手紙(メッセージ)をやりとりするための仕組み。インターネットがこれほど普及する以前には企業や大学などの閉じた組織のなかでの情報交換の仕組みとして使われてきたが、インターネットの普及とともに、インターネットに接続している組織どうしであればだれとでも、また異なったインターネット・サービスプロバイダーであっても、そしてパーソナルコンピュータパソコン)ではなく携帯電話であっても自由にメッセージをやりとりできるようになった。むしろ、電子メールを使いたい人が多かったことからインターネットがここまで普及したといっても過言ではない。

 電子メールでは郵便でいうところの住所や宛名(あてな)のかわりに電子メールアドレス(単にメールアドレス、略してメアドなどともよばれる)を使う。電子メールアドレスは「<個人名>@<組織名ドメイン名)>」という形式になっており、多くの日本の企業の場合、「taro@domainname.co.jp」などというような形になる。

 電子メールが利用される背景には、時間的な制約、地理的な制約が撤廃される、つまり、相手居場所にかかわらず、送信と同時に送付されることや、受け手不在であっても、あとからメッセージを読むことができるなど、そのメリットが現代人の多様な生活のリズムパターンに合致していることがある。インターネットの基本的なアプリケーションとして今後も使用され続け、電子メールアドレスをもっていない人はいなくなる、というのもあながち誇大な表現ではないだろう。

 一方で電子メールを使ったダイレクトメールなど、受取人が望まないメールの増加が著しい。メールソフトのいくつかではそうした「迷惑メール」を自動的に廃棄するなどの機能が盛り込まれるようになってきている。

[中島由弘]

『ケビン・ジョンソン著、小川彩子訳、宇夫陽次朗監訳『電子メールプロトコル詳説』(2000・ピアソン・エデュケーション)』『東弘子著『やさしいパソコン講座4 インターネット・電子メール入門』(2003・毎日コミュニケーションズ)』『榊正憲著『電子メールシステムとsendmail』(2003・アスキー)』『山田祥平他著『できるインターネット&電子メール入門はじめてでもわかる本』(2004・インプレス)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「電子メール」の意味・わかりやすい解説

電子メール
でんしメール
electronic mail

インターネットなどコンピュータネットワークを通じてユーザー間でメッセージを交換するシステム,あるいはそのメッセージ。e-mailと略記することが多い。コンピュータ間でメッセージを交換するシステムは 1960年代から存在したが,各ユーザーを abc@def.comなどという個人名とドメイン名を組み合わせたアドレスで指定する仕組みは,ARPANETの電子メールシステムを開発したレイ・トムリンソンが 1971~72年に考案したとされる。インターネットの電子メールでは,送信に SMTPと呼ばれるプロトコルを使い,メールはコンピュータからメールサーバに送られ,そこからリレー式に宛先に到着するまで転送される。受信には POPと呼ばれるプロトコルを使い,メールはユーザーの受信要求に応じて電子メールが蓄積されているメールサーバからコンピュータへ取り込まれ,メールソフトで読まれる。受信用プロトコルには,メールをすべてメールサーバ側で管理する IMAPも使われる。電子メールは文字だけでなく,画像,音声,動画なども扱えるようになっており,そのための MIMEという形式がある。これらの規格はインターネットに関する技術の標準を定める団体である IETFの発行する RFC文書で規定されている。電子メールは公私ともに利用されるようになったが,一方で過剰な広告などのスパムメールやウイルスメールなど,問題を起こすものも少なくない。

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