ARPANET(読み)あーぱねっと

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ARPANET」の意味・わかりやすい解説

ARPANET
あーぱねっと

アメリカ国防総省高等研究計画局(ARPA、後のDARPA)が、核戦争が起こった場合などにも生き残れる通信ネットワークとして開発した、世界初のパケット通信網。アルパネットとも読む。通信はパケットに分割され、それぞれのパケットには個別に目的地を指定するが、途中経路は指定しない。このため、目的地までの経路を静的に構成するそれまでの回線交換式の通信とは異なり、網内のルーターがパケットごとに状況に応じて複数の経路から最適なものを選ぶことができるようになった。これによって、ある経路に障害が生じても、動的に他の経路を選択することができ、通信の継続を可能とする。1969年、カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校(UCLA)など四つの拠点接続する形で運用が始まり、この技術が、後にインターネットの礎(いしずえ)となった。

丸山 宏 2019年4月16日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ARPANET」の意味・わかりやすい解説

ARPANET
アーパネット
Advanced Research Project Agency network

アメリカ合衆国国防省国防高等研究計画局 DARPAが 1969年に構築したコンピュータ・ネットワークインターネット原型になったといわれている。1960年代前半 DARPAの部長を務めていたジョセフ・リックライダーがコンピュータ・ネットワークによる資源の共有を提唱した。1969年パケットデータ交換方式によるネットワークがカリフォルニア大学ロサンゼルス校など 4ヵ所を結ぶかたちで始まり,しだいに全米規模となった。1983年,今日も使われている通信プロトコル TCP/IPによる接続が採用された時点で,軍関係のネットワークが切り離され,ARPANETの名前で学術研究目的のコンピュータ・ネットワークとなった。1985年には国立科学財団 NSFの NSFNETが ARPANETを吸収,のちのインターネットの基軸となった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android