パソコン通信(読み)ぱそこんつうしん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パソコン通信」の意味・わかりやすい解説

パソコン通信
ぱそこんつうしん

コンピュータなどの端末ホスト(中央)コンピュータの間を、電話などの通信回線を経由して接続し、データ通信を行うことで情報をやりとりして、掲示板電子メール、ファイルのアップロード/ダウンロードなどのコミュニケーションを行うことができるサービス。インターネットとは異なり、基本的に端末はホストコンピュータとのやりとりしかできず、他のユーザーとのやりとりはすべてホストコンピュータに保存されたデータを介するものであった。1980年代前半に個人レベルで運営するサービスが登場し始め、1980年代後半から大手のサービスが始まり、1990年代なかばまで隆盛を誇った。日本ではおもにNECの提供するPC-VAN(ピーシーバン)(現、ビッグローブBIGLOBE)と富士通日商岩井の提供するNifty serve(ニフティサーブ)(現、Nifty)がそれぞれ数百万単位の会員を獲得して普及していた。アメリカではCompuServe(コンピュサーブ)とAOL(America Online)が多くの会員を集めた。インターネットの普及に伴い徐々に会員数を減らし、2000年代に入るといずれもインターネットサービスプロバイダーとしての事業に移行し、その役目を終えた。

[編集部 2016年9月16日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パソコン通信」の意味・わかりやすい解説

パソコン通信
パソコンつうしん
personal computer communication

パーソナル・コンピュータモデムを用い,公衆回線を通じてホストコンピュータに接続し,そのサーバに蓄積された電子メール電子掲示板 BBSなどを利用して,情報交換を行なうシステム。1980年代に始まり 2000年代初めにインターネットに合流して消えた。インターネットが開かれたネットワークであるのに対し,パソコン通信は参加会員のかぎられた,ホストコンピュータを中心とした閉じたネットワークであるのが特徴。おもなサービスは,(1) 会員同士の電子メール,(2) 不特定多数の利用者が書き込める掲示板を通じて情報交換をする BBS,(3) ホストコンピュータと接続中の複数利用者間で,リアルタイムの通信で会話を行なうチャット,(4) データベース・サービス,(5) 利用者間でソフトウェアの登録・配布を自由に行なうプログラム配布サービス。アメリカ合衆国西海岸で始まり,日本では 1980年代初期に非商用の草の根ネットが始まった。1985年電気通信事業法が改正されてモデムの回線接続が法律的に可能になると,大手業者がパソコン通信の商用サービスに参入し,日本電気系の PC-VAN,富士通系の NIFTY-Serveなどが活動を始める一方,草の根ネットも爆発的に増えた。しかし,1990年代後半からはインターネットにのみ込まれ,2000年代には姿を消した。

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