日本大百科全書(ニッポニカ) 「電子電圧計」の意味・わかりやすい解説
電子電圧計
でんしでんあつけい
electronic voltmeter
電子回路を直接的に指示計器と組み合わせた電圧計。指示計器を動作させるためには増幅器が利用されている。一般に電子電圧計は多レンジで交直両用になっているが、基本的には直流電圧計であって、交流電圧測定の場合には、入力側で電子回路によって直流に変換して測定している場合が多い。電子電圧計に用いられている増幅器はおもに直結型直流増幅器とチョッパー型直流増幅器とに大別される。前者は安価な計器に、後者は微小電圧も測定できる計器に利用されている。
電子電圧計の原理を直結型増幅器を例にとって示しておく。未知電圧は増幅器の入力レベルにあうようにレンジ切換えやアッテネーターで変換されて、増幅器の入力段にある入力抵抗の高い電界効果型トランジスタ(FET)Q3に印加されるようになっている。二つのトランジスタは指示計器を動作させるための直結型増幅器であり、指示計器の振れは未知電圧に直接比例する。この計器で測定を行う前に、二つの基本的な操作が必要である。その一つは入力回路を短絡して指示計器の振れが0を指示するように回路の平衡をとることであり、もう一つは入力を開放して計器の振れがフルスケール(無限大表示)になるように計器に流れる電流を調節することである。
電子電圧計は入力抵抗を高くすることができるうえ(10メガオーム以上)、またきわめて微小な電圧(1マイクロボルト以下)を測定することも可能であるため、指示計器を0電圧中心の指示にすることによって、零位検出器として利用されている。
[山崎修快]