11月(霜月)14日から10日間、比叡山(ひえいざん)延暦寺(えんりゃくじ)で天台大師智顗(ちぎ)忌の24日を期して営まれる法華十講(ほっけじっこう)をいう。天台宗の諸山諸寺で毎年営まれている。十一月会とも天台会とも称する。伝教(でんぎょう)大師最澄(さいちょう)が798年(延暦17)始修、ついで801年、南都七大寺から十大徳を請(しょう)じて一乗止観院(いちじょうしかんいん)で『法華経(ほけきょう)』8巻および開結二経が講じられ、後の天台宗のいわゆる広学竪義(りゅうぎ)と称される論義が加えられた。当初は、10日間の講論を終わってその明くる24日の朝、天台大師供(だいしく)を行ったものであるが、しだいに5日ないし4日と短縮され、1日限りで終わることも、また最澄の忌日の六月会にあわせて行われることもあったらしい。
[西山蕗子]
…古来,山僧の多くは山上に住まず,東西坂本および洛中に里坊(さとぼう)を有したが,今では主として東坂本(大津市坂本)に集住し,ここには最澄生誕地と伝える生源寺,座主の住坊である滋賀院門跡をはじめ多くの住院がある。
[法会]
《三宝絵詞》(984年源為憲撰)には,叡山で行われる毎年の法会として,1,4,7,10月に各21日間ずつ行う懺法(せんぼう)(812年最澄始修),3月と9月の15日に行う勧学会(964年始修,山僧20人と大学寮学生20人が坂本の寺に会し,朝は法華経を講じ,夕は念仏を行い,終夜,讃仏の詩文を作る),4月の花の盛りに行う舎利会(860年円仁始修),4月15日以前に行う授戒会(823年始),6月4日,最澄の忌日に行う六月会(みなづきえ),8月11日から17日まで行う不断念仏(865年円仁始修),9月15日に行う灌頂(843年円仁始修),11月24日の天台大師忌に行う霜月会(798年最澄始修)を掲げる。このうち六月,霜月の両会はとくに重んじられ,5年に1度,好季を選んで両会同時に修し,これを法華大会という。…
…弘法大師空海の信者が結成する講社をいう。また天台宗では開祖智者大師智覬(ちぎ)の忌日11月24日に講会を営み,比叡山では霜月会,天台会などとよんだが,他の諸寺では大師講と称した。また民家で行う伝教大師最澄の忌日の仏事をも大師講という。…
…興福寺では817年(弘仁8)藤原冬嗣が父内麻呂追善のため南円堂ではじめて修し,後三条天皇の御願寺である円宗寺では1072年(延久4)に始まり,勅会のなかでも規模が大きく荘厳華麗を極めた。延暦寺では967年(康保4)天台座主良源が広学竪義(りゆうぎ)(竪義)と称する法華会を始め,法華大会(だいえ),叡山霜月会の名でも知られ,1216年(建保4)より勅会となった。戦国期一時中止になったが,江戸時代に復興し,現在は5年に1度大講堂で修せられる。…
※「霜月会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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