露霜の(読み)ツユジモノ

デジタル大辞泉 「露霜の」の意味・読み・例文・類語

つゆじも‐の【露霜の】

[枕]おく露霜が消えやすい意から「おく」「」「過ぎ」にかかる。つゆしもの。
「寄り寝しいもを―置きてし来れば」〈・一三一〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「露霜の」の意味・読み・例文・類語

つゆしも‐の【露霜の】

  1. 露や霜が消えやすいところから、「消える」やそれに類した語にかかる。
    1. (イ) 「消ゆ」にかかる。
      1. [初出の実例]「まつろはず 立ち向ひしも 露霜之(つゆしもの)(け)なば消ぬべく ゆく鳥の あらそふはしに」(出典万葉集(8C後)二・一九九)
    2. (ロ) 「過ぐ」にかかる。
      1. [初出の実例]「朝夕(あさよひ)に 満ち来る潮の 八重浪に 靡く珠藻の 節の間も 惜しき命を 露霜之(つゆしもの) 過ぎましにけれ」(出典:万葉集(8C後)一九・四二一一)
  2. 露霜が置く意で、「置く」やそれと同音またはそれを含む語にかかる。
    1. (イ) 「置く」にかかる。
      1. [初出の実例]「浪の共(むた) 彼寄りかく寄る 玉藻なす より寝し妹を 露霜乃(つゆしもノ) 置きてし来れば」(出典:万葉集(8C後)二・一三一)
    2. (ロ) 「置く」と同音の「起く」にかかる。
      1. [初出の実例]「つゆしもの夜半におきゐて冬の夜の月見るほどに袖は氷りぬ」(出典:為相本曾丹集(11C初か))
    3. (ハ) 「置く」と同音の「晩手(おくて)」「小倉山」「岡辺」などにかかる。
      1. [初出の実例]「露霜の小倉の山に家ゐして干さでも袖の𣏓ちぬべきかな〈藤原定家〉」(出典:続古今和歌集(1265)雑中・一六九七)
    4. (ニ) 「置く」と同意の「降る」と同音の地名布留(ふる)」や「古里(ふるさと)」にかかる。
      1. [初出の実例]「露霜のふるさと人のから衣同じ夜寒にうたぬ間もなし〈藤原為氏〉」(出典:続後拾遺和歌集(1326)秋下・三七一)
  3. 露や霜は秋の景物であるので、「秋」にかかる。
    1. [初出の実例]「露霜乃(つゆしもノ) 秋さり来れば 生駒山 飛火が岡に 萩の枝(え)を しがらみ散らし さを鹿は 妻呼びとよむ」(出典:万葉集(8C後)六・一〇四七)

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