奈良県・大阪府境にある生駒山地の主峰。標高六四二・三メートル。山頂部は緩やかな平坦面となり、河内側は急傾斜の標式的断層地形を示し、東斜面は緩傾斜で生駒谷に向かう。胆駒山(日本書紀)・生馬山(続日本紀)・生駒山(伊勢物語)のほか「万葉集」には射駒山(巻一〇)・伊駒山(巻一二)・伊故麻山(巻一五)・伊古麻多可禰(巻二〇)の表記がある。古代には現生駒山地を総称してイコマの山といったと考えられる。
西麓には
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
大阪府と奈良県の境をなして南北にのびる生駒山地の主峰。標高642m。更新世の六甲変動で隆起した生駒山地の隆起軸は,北端の淀川沿いの男山から南端の大和川狭隘部まで南北約35km,幅5~6kmに認められる。山地の高度は北部で約250m,南へしだいに高くなり450m前後となる。尾根に残る小起伏の平たん面は鮮新世初めの準平原の遺物と考えられ,それらを連ねると一定の高さを示す。山地の西側は急傾斜の崖で大阪平野に接し,東側は緩傾斜して奈良盆地に移行している。山地の成因については,著しい断層の露頭も見いだされ断層運動による地塁や傾動地塊と考えられていたが,新しく基盤褶曲が提唱された。大阪平野と奈良盆地をつなぐ道が山地を越えているが,暗(くらがり)峠(455m)の奈良街道が古来有名である。1914年に大阪電気軌道(現在の近鉄)の生駒トンネルが開通して,奈良~大阪間の交通が容易になった。
生駒山は生駒山地の尾根から一段高いドーム状の地形を示す。付近の地質の大部分が花コウ岩であるのに対して,生駒山の山体は堅い斑レイ岩やセン緑岩からなっているために,周辺が浸食されて残った残丘である。山頂から大阪平野や奈良盆地の眺望がきき,古くから戦略的に重要であった。生駒山の東腹にある宝山寺(生駒聖天)は〈生駒の聖天さん〉として大阪商人の信仰を集め,門前町が発達した。1918年に日本最初のケーブルカーが東麓から宝山寺まで開通し,29年に山頂まで延長されたため従来の参詣道はさびれた。山頂は夏季の遊園地となり,回転展望台,飛行塔などの施設が設けられてにぎわい,またテレビの送信アンテナが立ちならび,マイクロウェーブの中継所や天文台などもある。尾根を通る信貴(しぎ)生駒スカイラインが阪奈道路から分かれて59年建設され,国民宿舎も設けられ,金剛生駒国定公園の一部に含まれる。生駒山西麓には日下(くさか)貝塚,多くの古墳,河内一宮の枚岡神社がある。
執筆者:水山 高幸+清水 弘
生駒山は,1678年(延宝6)朝日岳般若院で修行した湛海が宝山寺を建立し,そこにまつる大聖歓喜自在天が〈聖天さん〉と通称され,あつい信仰を集めていることで知られる。また生駒山は役小角(えんのおづぬ)伝説,《元亨釈書》の伝える生馬仙と呼ぶ優婆塞(うばそく)の存在,葛城修験の行場としても知られており,古くから修行の山でもあった。しかしそれ以上に生駒山の信仰史を特徴づけているのは,この山の山麓部が春日社のある東山と同様,古代の葬所とされ他界と観念されてきたことである。特に行基の墓所とされる輿山は多数の碑塔類が立ち並び,近郷の惣墓とされてきた。行基は生駒山に生駒仙房,草野仙房と呼ばれた草庵を結んで活動の拠点とし,749年(天平勝宝1)に入滅したのち火葬に付され,遺骨は生駒山の輿山往生院に埋葬されたという。その後,1235年(嘉禎1)竹林寺の中興開山寂滅によって行基墓の発掘が行われ,行基の遺骨崇拝が高まって,竹林寺隆盛の契機となった。
執筆者:宮本 袈裟雄
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奈良県と大阪府との境界に位置する生駒山地の主峰。金剛生駒紀泉(こんごういこまきせん)国定公園の一中心。標高642メートル。侵食に耐えた堅い閃緑(せんりょく)岩からなるドーム状の残丘。山頂は平坦(へいたん)面をなし、大阪府側の西斜面は急崖(きゅうがい)、奈良県側の東斜面は緩傾斜で生駒谷に下る。古くから胆駒山(『日本書紀』)、射駒山(『万葉集』)などの名で知られる。1678年(延宝6)東側中腹の般若窟(はんにゃのいわや)の下に宝山寺(ほうざんじ)が創建されてから庶民の信仰を集めた。山頂には遊園地、各局テレビ塔などがあり、阪奈道路から分岐する信貴(しぎ)生駒スカイラインや近畿日本鉄道生駒駅近くの鳥居前駅からはケーブルが通じている。
[菊地一郎]
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