布留(読み)フル

デジタル大辞泉 「布留」の意味・読み・例文・類語

ふる【布留】

奈良県天理市地名石上いそのかみ神宮がある。[歌枕
石上―の神杉神さぶる恋をも我は更にするかも」〈・二四一七〉

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精選版 日本国語大辞典 「布留」の意味・読み・例文・類語

ふる【布留】

  1. [ 一 ] 奈良県天理市の地名。布留川、石上(いそのかみ)神宮がある。歌枕。
    1. [初出の実例]「石上振(ふる)の山なる杉群の思ひ過ぐべき君ならなくに」(出典万葉集(8C後)三・四二二)
  2. [ 二 ] 謡曲。脇能物。世阿彌作か。彦山行者が大和国石上布留の神宮を訪れると、布留の女神が現われ、布留の御衣(みぞ)や神体の剣のいわれを語る。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「布留」の意味・わかりやすい解説

布留
ふる

奈良県北部、天理市の一地区。布留川扇状地上に位置する。『日本書紀』履中(りちゅう)天皇の条に「石上(いそのかみ)の振神宮(ふるのかみのみや)」とある石上神宮が鎮座する。「石上布留の神杉(かみすぎ)……」など「石上布留」として『万葉集』に多く詠まれている。神宮の近くに縄文古墳時代にわたる布留遺跡がある。近くにある天理参考館で遺跡からの出土品の展示が行われている。

[菊地一郎]

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