青い麦(読み)アオイムギ(英語表記)Le Blé en herbe

デジタル大辞泉 「青い麦」の意味・読み・例文・類語

あおいむぎ〔あをいむぎ〕【青い麦】

原題、〈フランスLe blé en herbeコレット小説。1923年刊。ブルターニュ地方海辺自然背景に、幼なじみの少年少女の恋と性への目覚めを描く。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「青い麦」の意味・わかりやすい解説

青い麦
あおいむぎ
Le Blé en herbe

フランスの女流小説家コレットの中編小説。1923年発表。17歳になろうとしている少年フィリップは夏休みにブルターニュの海岸で美しい夫人に誘惑されて、性の目覚めを経験する。子供のころから彼と兄妹のように仲よくしている一つ年下のバンカは、嫉妬(しっと)によって、彼に対する愛を初めて意識し、彼に体を与えてしまう。フィリップは早く大人になりたかった自分の欲望犠牲になったバンカをみて、妙に身にしみる悔恨を覚える。輝かしい自然の下のエロティシズム官能の喜び、そのあとに続く魂の傷跡のうずきと哀愁は、まさにコレット文学の精髄である。

新庄嘉章

『『青い麦』(堀口大学訳・新潮文庫/新庄嘉章訳・講談社文庫)』

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