コレット(読み)これっと(英語表記)John Colet

デジタル大辞泉 「コレット」の意味・読み・例文・類語

コレット(Sidonie-Gabrielle Colette)

[1873~1954]フランスの女流小説家。人間の心理や、官能の世界を感性豊かに描く一方、自然や動物の描写にもすぐれた。作「シェリ」「青い麦」「牝猫」など。

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精選版 日本国語大辞典 「コレット」の意味・読み・例文・類語

コレット

  1. ( Sidnie Gabrielle Colette シドニー=ガブリエル━ ) フランスの女流小説家。感覚的描写にすぐれ、人間の心理だけでなく、動物、自然を繊細な筆致で描く。作品は「シェリ」「青い麦」「牝猫」など。(一八七三‐一九五四

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コレット」の意味・わかりやすい解説

コレット(John Colet)
これっと
John Colet
(1466/1467―1519)

イギリスの神学者、人文主義者。3年間にわたりフランス、イタリアに滞在、1496年に帰国後オックスフォード大学で講義する。セント・ポール大聖堂の司祭長に任ぜられたのち、1509年セント・ポール学院を創設し、教育の普及に携わりながら北方ルネサンスを推進し、エラスムス、ギヨーム・ビュデトマス・モアなどの人文主義者に影響を与えた。彼の哲学はネオプラトニズム新プラトン主義プラトン主義を神秘主義的に発展させた哲学体系)に基盤をもつ。また聖職者を鋭く批判し、異端の疑いを受けた。聖書の注釈書やエラスムスへの書簡が彼の思想を伝えている。

[磯見辰典 2015年7月21日]


コレット(Sidonie-Gabrielle Colette)
これっと
Sidonie-Gabrielle Colette
(1873―1954)

フランスの女流小説家。ブルゴーニュ地方の生まれ。1893年、作家ウィリーと結婚。夫との共著になる四連作『学校のクローディーヌ』(1901)、『去り行くクローディーヌ』(1902)などで文壇にデビュー。夫の名前で発表されたが、全部コレットの筆になるもので、彼女の自伝小説である。1906年離婚、パリのミュージック・ホールで踊りながら創作を続け、『さすらいの女』(1910)、『ミュージック・ホールの内幕』(1913)、『きずな』(1913)などが生まれた。12年ジャーナリストのアンリッド・ジュブネルと再婚して舞台を退き、第一次世界大戦中は報道記者として活躍した。作風が円熟してきたのは戦後で、この時期、奔放な想像力を駆使して男女の愛欲の機微を描く心理小説に移り、『踊り子ミツ』(1919)、『シェリ』(1920)、『青い麦』(1923)、『第二の女』(1929)、『牝猫(めすねこ)』(1933)、『言い合い』(1934)などの名作が書かれた。第二次大戦中にも2編の回想録や小説『ジジ』(1944)などがある。動植物への異常な愛情、野性的で清新な感性、とくに女性の官能の世界への深い沈潜などが特徴的。

新庄嘉章

『新庄嘉章他訳『コレット全集』全12巻(1971~78・二見書房)』


コレット(Camilla Collett)
これっと
Camilla Collett
(1813―1895)

ノルウェーの女流小説家。国民詩人ウェルゲランの妹。兄の論敵の詩人ウェルハーベンとの悲恋から長い外国旅行に出て、帰国して年少の夫と結婚、未亡人になってから創作活動を始める。匿名で発表した『知事の娘』(1855)は自己の体験に基づいて女性解放を説いた作。少女時代の回想記『長い夜に』(1862)、女性のために弁じたエッセイ集『唖(あ)者の陣営から』『流れに逆らって』などが知られる。イプセンが『人形の家』などを書いたのも彼女の影響によるという。

[山室 静]

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改訂新版 世界大百科事典 「コレット」の意味・わかりやすい解説

コレット
Sidonie-Gabrielle Colette
生没年:1873-1954

フランスの女流作家。ブルゴーニュに生まれ,田園に育ったが,文士ウィリーと結婚,彼のすすめで小説を書き始め,1900年から03年にかけて4冊の〈クローディーヌもの〉を刊行,文壇に登場した。06年離婚してミュージック・ホールの踊子となったが,小説の筆は捨てず,その生活を《さまよえる女》(1910),《ミュージック・ホールの舞台裏》(1913)といった作品に描きだした。第1次大戦中ジャーナリストとして活躍したが,戦後,小説《シェリ》(1920)をもって文壇に復帰し,作家としての地位を確立した。その後さらに《青い麦》(1923),《シェリの最期》(1926),《牝猫》(1933),《言い合い》(1934)などの名作を次々と発表し,20世紀を代表する女流作家としての定評を得た。その作品は女性独得の感性に裏づけられ,妖しいまでの官能性にあふれ,男性作家には描きえぬ独自の世界をつくりだしている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コレット」の意味・わかりやすい解説

コレット
Colette, Sidonie-Gabrielle

[生]1873.1.28. ブルゴーニュ,サンソブールアンピュイゼイ
[没]1954.8.3. パリ
フランスの女流作家。 20世紀前半の最も著名な女流作家の一人。 20歳で 40代の作家ウィリー (本名 H. Gauthier-Villars) と結婚,夫のすすめで書いた少女時代を扱う自伝的小説『学校のクローディーヌ』 Claudine à l'école以下4冊のクローディーヌ・シリーズ (1900~03) によって認められた。 1906年離婚後,ミュージック・ホールの舞台に立ち,13年に再婚した。第1次世界大戦に記者として従軍,20年に五十女と 17歳の若者の愛欲を描いた『シェリ』 Chériを出版,以後次々と傑作を発表。伝統的心理小説の手法を用いながら,鋭敏な感覚と洗練された感性で未知の領域を開拓した。主著『青い麦』 Le Blé en herbe (23) ,『第二の女』 La Seconde (29) ,『牝猫』 Chatte (33) 。

コレット
Collett, Camilla

[生]1813.1.23. クリスティアンスン
[没]1895.3.6. クリスチャニア(現オスロ)
ノルウェーの女流作家。国民詩人ウェルゲランの妹。兄の論敵ウェルハーベンとの恋に苦しみ,長い外国旅行ののち,法学者 P. J.コレットと結婚,夫の死後文筆生活に入った。当時の恵まれない女性のために奮闘,その婦人解放思想はイプセンらに大きな影響を与えた。代表作『知事の娘たち』 Amtmandens døttre (1855) ,評論集『唖者の陣営から』 Fra de stummes leir (77) ,『流れに抗して』 Mot strømmen (79~85) 。

コレット
Colet, John

[生]1466頃.ロンドン
[没]1519.9.16. サリー,シーン
イギリスの聖職者で当時の代表的人文主義者。オックスフォード大学およびフランス,イタリアで学ぶ。 1496~1504年オックスフォードで新約聖書について講義,エラスムスも聴講した。他方,ロンドンのセント・ポール大寺院の首席司祭として,09年頃寺院付属の学校を創立し,有名なラテン語文法の教科書を書いた。聖パウロの書簡の注釈などの著作,また説教や講義によって,イギリス宗教改革の先駆となった。

コレット
Colette, Nicolette Boillet

[生]1381.1.13. コルビー
[没]1447.3.6. ゲント
聖女。大工の娘。 17歳で両親に死別しフランシスコ第三会に入会。幻視のなかでクララ会を原始会則に復させよとのフランシスコの命を受け,1406年対立教皇ベネディクツス 13世の後援のもとに改革を遂行,コレット派クララ会を開き,新しい修道院を次々に設置した。この修道会改革は,たちまちサボイ,フランス,スペイン,ドイツに広まった。 1807年列聖。祝日3月6日。

コレット
Corrette, Michel

[生]1709. ルーアン
[没]1795.1.22. ルーアン
フランスのオルガン奏者,作曲家。 1726年マリー・マグダレーヌ聖堂のオルガニストを振出しに,パリ市内のオルガニストを歴任,80年以降はアングレーム公のオルガニスト。声楽,バイオリン,ハープ,チェロ,マンドリンなどのためのすぐれた教則本を著わしたほか,『劇場風の協奏曲』など洒脱な作品が多い。

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百科事典マイペディア 「コレット」の意味・わかりやすい解説

コレット

フランスの女性作家。20歳で作家ウィリーWillyと結婚,夫と共著で《学校のクローディーヌ》以下4冊の〈クローディーヌもの〉を書く。1906年離婚後パリのミュージック・ホールの舞台に出ながら創作,第1次大戦後,《シェリ》《青い麦》《牝猫》等を発表。女の恋を繊細に描きつつ平然と性欲を扱い,独自の地位を確立。国葬の礼を受けた。
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