日本大百科全書(ニッポニカ) 「青年座」の意味・わかりやすい解説
青年座
せいねんざ
劇団名。1954年(昭和29)5月、森塚敏(びん)(1926―2006)、成瀬昌彦(なるせまさひこ)(1924―?)、東恵美子(あずまえみこ)(1924―2010)、山岡久乃(ひさの)(1926―1999)ら俳優座の準劇団員10名が同座を脱退して結成。創作劇のみを上演していくという基本方針を決定して、同年12月椎名麟三(しいなりんぞう)の『第三の証言』で旗揚げした。以来、三島由紀夫、矢代静一、八木柊一郎(やぎしゅういちろう)(1928―2004)、西島大(だい)(1927―2010)らの戯曲を精力的に手がけ、新劇界に新風を送り込んだ。近年はテネシー・ウィリアムズやブレヒト作品など、翻訳劇をも上演、岡部耕大(こうだい)(1945―2023)、北村想(そう)(1952― )らに続く坂手洋二(さかてようじ)(1962― )、永井愛(1951― )、鐘下辰男(かねしたたつお)(1964― )らの若い劇作家への目配りを失わず、代表的な新劇団に成長した。1969年に東京都渋谷区代々木八幡(よよぎはちまん)に青年座劇場を含む新稽古場(けいこば)を落成させた。1981年に日本新劇団訪中公演の一つとして、水上勉(みずかみつとむ)原作『ブンナよ、木からおりてこい』を上演して以来、海外公演も意欲的に進めている。
[大笹吉雄]