矢代静一(読み)ヤシロセイイチ

デジタル大辞泉 「矢代静一」の意味・読み・例文・類語

やしろ‐せいいち【矢代静一】

[1927~1998]劇作家東京の生まれ。文学座に入り、のち劇団NLT結成に参加。浮世絵師三部作「写楽考」「北斎漫画」「淫乱斎英泉」で芸術選奨。他の作品に「壁画」「夜明けに消えた」など。

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20世紀日本人名事典 「矢代静一」の解説

矢代 静一
ヤシロ セイイチ

昭和・平成期の劇作家,演出家



生年
昭和2(1927)年4月10日

没年
平成10(1998)年1月11日

出生地
東京・銀座

学歴〔年〕
早稲田大学文学部仏文科〔昭和25年〕卒

主な受賞名〔年〕
紀伊国屋演劇賞〔昭和46年〕「写楽考」「パレスチナサボテン」,読売文学賞(戯曲賞 第24回)〔昭和47年〕「写楽考」,芸術選奨文部大臣賞(昭52年度)〔昭和53年〕「浮世絵師三部作」,紫綬褒章〔平成2年〕,勲四等旭日小綬章〔平成9年〕

経歴
昭和19年早稲田高等学院在学中に俳優座研究生となり戦時下の移動劇団に加わる。大学時代は俳優座文芸部に属し、26年文学座に移る。25年から演出も始め、劇作家、演出家として活躍。38年文学座を退団し、NLTの結成に参加。のちフリーとなり、ミュージカル商業演劇でも活躍。44年カトリックの洗礼を受けた。48年「写楽考」で読売文学賞を、53年「浮世絵師三部作」(「写楽考」「北斎漫画」「淫乱斎英泉」)で芸術選奨文部大臣賞を受賞。ほかの代表作に「城館」「絵婆女房」「壁画」「夜明けに消えた」などがある。著書に「画狂人・北斎考」「旗手たちの青春」「螺旋階段の上の神」「矢代静一戯曲全集」(全2巻)など。一貫して人間の内面を見つめる作品を書き続けた。NHK放送用語委員も務めた。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「矢代静一」の意味・わかりやすい解説

矢代静一
やしろせいいち
(1927―1998)

劇作家。東京・銀座に生まれる。早稲田(わせだ)大学仏文科卒業。俳優座を経て文学座に入り、『城館(しろ)』(1954)、『絵姿女房』(1955)などで注目された。以後『象と簪(かんざし)』(1956)、『地図のない旅』(1961)、『黒の悲劇』(1962)、『宮城野』(1966)など多彩な作風を示し、「日本のアヌイ」ともよばれた。さらに、キリスト教入信の宣言ともいうべき『夜明けに消えた』(1968)、『写楽考』(1971。翌年読売文学賞受賞)を頂点とする「浮世絵師三部作」で作家的転生と成熟を明確にした。ほかに『妖(あや)かし』(1978)、『黄昏(たそがれ)のメルヘン』(1982)、『小林一茶』(1991)、『良寛異聞』(1997)など。評伝『旗手たちの青春』(1985)、『含羞の人』(1998)もある。

[大島 勉]

『『矢代静一戯曲集』全2巻(1967・白水社)』『『矢代静一戯曲集・夜明けに消えた』(1972・早川書房)』『『矢代静一名作集』(1979・白水社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「矢代静一」の意味・わかりやすい解説

矢代静一
やしろせいいち

[生]1927.4.10. 東京
[没]1998.1.11. 東京
劇作家。幼少より映画・演劇に親しみ,早稲田大学仏文科在学中にモリエールを中心にフランス演劇へと関心を広げた。 1946年から俳優座,50年から文学座文芸部員。 J.ジロドゥ,J.アヌイの影響を受けた『城館 (しろ) 』 (1954) や,民話を素材とした『絵姿女房』 (55) で岸田国士に認められる。 63年に退座して,翌年三島由紀夫らと劇団 NLTの結成に参加。 67年退団。神と信仰の問題に取組んだ『夜明けに消えた』 (68) の翌年カトリックに入信した。代表作はほかに『写楽考』 (71) ,『北斎漫画』 (73) ,『淫乱斎英泉』 (75) の浮世絵師三部作 (78年芸術選奨文部大臣賞受賞) など。 90年紫綬褒章を受章。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「矢代静一」の解説

矢代静一 やしろ-せいいち

1927-1998 昭和後期-平成時代の劇作家。
昭和2年4月10日生まれ。昭和24年文学座にはいり「壁画」などで地位を確立。38年劇団NLT結成に参加し,のちフリー。聖書に材をえた「夜明けに消えた」など話題作を発表。「写楽考」(紀伊国屋演劇賞,読売文学賞),「北斎漫画」「淫乱斎英泉」の浮世絵師三部作で53年芸術選奨。平成10年1月11日死去。70歳。東京出身。早大卒。
【格言など】世の中で生きて暮らしてるものが,世間を気にしなくてどうする(「城館」)

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367日誕生日大事典 「矢代静一」の解説

矢代 静一 (やしろ せいいち)

生年月日:1927年4月10日
昭和時代;平成時代の劇作家
1998年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

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