静観詩集(読み)セイカンシシュウ(その他表記)Les Contemplations

デジタル大辞泉 「静観詩集」の意味・読み・例文・類語

せいかんししゅう〔セイクワンシシフ〕【静観詩集】

原題、〈フランスLes Comtemblationsユゴー詩集。1856年刊。愛娘レオポルディーヌの死を境に、それ以前の「過ぎ去りし日(Autrefois)」、それ以後の「いま(Aujourd'hui)」の二部構成とする。ユゴーの叙情詩の中でも特に優れた作品とされる。瞑想詩集

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「静観詩集」の意味・わかりやすい解説

静観詩集
せいかんししゅう
Les Contemplations

フランスの詩人ユゴー後期の著名な詩集。1856年刊。「瞑想(めいそう)詩集」とも訳される。ナポレオン・クーデター後のユゴー亡命中の出版にもかかわらず、初版は発売と同時に売り切れ、文学的にも高い評価を得た。構成は、愛娘レオポルディーヌの溺死(できし)事件を境に、明るく幸福な「昔」(第一部、1830~43)、悲嘆と瞑想、哲学的昇華を描く「今」(第二部、1843~55)に分かれ、あわせて158編を収録。二部構成のコントラストを効果的にするため、亡命中の詩を第一部に移すなど技巧的改変がみられるが、内容は、愛娘の死を山場に、自然、家庭、思い出をうたって変化に富む。最後の哲学詩では、交霊術の影響下に万物交感をうたい、後の象徴派を予告している。

[佐藤実枝]

『松下和則訳『世界名詩集大成2 静観詩集他』(1960・平凡社)』

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