靴墨(読み)クツズミ

デジタル大辞泉 「靴墨」の意味・読み・例文・類語

くつ‐ずみ【靴墨】

靴の革の保護やつや出しのために塗るクリーム。各種の色がある。靴クリーム

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精選版 日本国語大辞典 「靴墨」の意味・読み・例文・類語

くつ‐ずみ【靴墨】

  1. 〘 名詞 〙 くつの皮を保護したり、光沢を出したりするために塗るクリーム。靴クリーム。
    1. [初出の実例]「印刷局製肉部にて製造さるる靴墨は」(出典:明治日報‐明治一五年(1882)一月一二日)

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改訂新版 世界大百科事典 「靴墨」の意味・わかりやすい解説

靴墨 (くつずみ)

靴の保色・保革・つや出しに用いるクリーム。靴クリームともいう。性状により,乳化性,油性,液体,エーロゾルの四つに分類される。全生産量の約75%を占める乳化性製品は,ろう・有機溶剤油脂を主成分とし,着色性に優れ,柔軟効果や保革性が強いのが特徴。油性製品はろうと油脂を主成分とし,防水やつや出しの効果が高く,アメリカではこのタイプが多い。液体製品はろうと水を乳化剤で乳化したもので,塗って乾かすだけでつやが出る簡便性が売りもの。靴墨は明治初期アメリカ人によって見本として持ち込まれた。日本で模造品が作られたのは1887年(明治20)前後のことで,90年には上野の博覧会(内国勧業博覧会)入口に靴みがきが現れたという記録がある。当時の靴墨は黒1色で,骨炭黒砂糖を混合し,硫酸に1週間ほどつけてからロールで練って作った。靴をはく人が軍人・警察官・学生等に限られていたため,需要は1ヵ月1000グロス前後と少なかった。1905年前後には,靴の革がタンニンなめしからクロムなめしに変わり,これに伴って靴墨も動物脂や油脂に骨炭・ばい煙を加えたものや,ろう分を含んだものになった。現在では靴の素材や色に合わせて10種以上の原料が用いられる。靴の手入れは,乳化性クリームを塗ったのち油性クリームでつやを出すのがこつ。
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