韓国挺身隊問題対策協議会(読み)かんこくていしんたいもんだいたいさくきょうぎかい(英語表記)The Korean Council for the Women Drafted for Military Sexual Slavery by Japan

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

韓国挺身隊問題対策協議会
かんこくていしんたいもんだいたいさくきょうぎかい
The Korean Council for the Women Drafted for Military Sexual Slavery by Japan

第二次世界大戦中に、韓国人女性がその意に反して日本軍兵士の性の相手をさせられたとする、いわゆる「従軍慰安婦問題」の解決を目的として結成された韓国の市民団体。略称挺対協。女性団体やキリスト教団体を中心に1990年に結成され、ソウルに拠点を置く。初代会長には梨花(りか)女子大学英文科名誉教授の尹貞玉(ユンジョンオク)(1925― )が就任。挺対協メンバーには、閣僚経験者や国会議員が名を連ねている。挺対協は従軍慰安婦は旧日本軍によって強制的に連行されたと主張し、日本政府に戦争犯罪の認定、真相究明、公式謝罪、法的賠償、責任者の処罰などを要求している。1992年以降、ソウルの在韓日本大使館前で毎週、抗議集会を開き、元慰安婦が共同生活する施設などの運営にもあたっている。1995年(平成7)の民間団体「アジア女性基金(女性のためのアジア平和国民基金)」の創設(2007年解散)や、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的解決」を確認した2015年(平成27)12月の日韓政府間合意に強硬に反対する立場をとっており、元慰安婦を医療・福祉面で支援する「償い金」や「癒(い)やし金」の受け取り拒否運動を展開している。また2011年12月には、在韓日本大使館前に従軍慰安婦問題の解決を訴える少女銅像を設置して、「平和の碑」と名づけた。最近では、ベトナム戦争時の韓国軍兵士による現地女性への性暴力問題を取り上げるなど、世界規模での戦時性暴力への反対活動を展開している。

[矢野 武 2017年1月19日]

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