…律令制の時代には,こうした部曲は雑工戸・雑戸(ざつこ)として,中央および地方官衙の統轄下におかれた。そうした時代,とくに重用されたものは新来の朝鮮系の鍛冶であったらしく,《古事記》応神天皇の条に〈韓鍛卓素〉の名が見えるのをはじめ,奈良時代の《続日本紀》などには,この韓鍛冶の語がしばしば出てくる。平安時代になると,鍛冶も多くは地方へ四散し,荘園領主の庇護を受けるようになる。…
…その子孫は倭鍛冶(やまとかぬち)として代々朝廷に仕えたといい,綏靖(すいぜい)天皇は天津真浦に鏃を,崇神(すじん)天皇は天目一箇神の後裔に神剣を造らせたと伝えている。また応神天皇のとき,百済から学者和邇(わに)とともに韓鍛(からかぬち)卓素(たくそ)が来朝し(《古事記》),この帰化系の鍛冶を倭鍛冶に対し韓鍛冶と称している。各地の後期古墳から刀剣類の出土例があり,奈良時代には鍛冶は全国的に存在したと思われる。…
※「韓鍛冶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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