大和朝廷の職業部民の一つ。銅鉄製品の鋳造・鍛造に従事した。大化改新以降もその一部は解放されず,雑戸(ざつこ)の鍛戸に編成され,造兵司,鍛冶司,典鋳司等に配属された。
《古事記》応神段に百済より韓鍛の卓素が貢上されたとあり,百済系技術者を組織したもので,彼らは各地に居住し伴造(とものみやつこ)の韓鍛冶首(おびと)に率いられて宮廷工房に上番した。8世紀の文献によると,韓鍛冶(辛鍛冶,辛鍛部,辛金部,韓鉄師部,韓鍛)の名を有するものが近江,丹波,播磨,紀伊,讃岐と広く散在している。渡来系の鍛冶としてはこのほかに金作部,朝妻金作,忍海部等の名が知られる。
《日本書紀》綏靖即位前紀に倭鍛部天津真浦の名があり,《新撰姓氏録》和泉神別に天津麻良命は神魂命八世孫とみえる。倭鍛部は渡来の伝承をもたないが,ふるく弥生時代に渡来した技術が韓鍛冶部成立の後,組織され倭鍛部となったのであろう。この伴造は鍛冶造(みやつこ)で,727年(神亀4)に守部連(むらじ)姓を与えられた鍛冶造大隅はこの伴造の後裔と思われる。
執筆者:新井 喜久夫
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… まず伴として,畿内の中小豪族を任ずる殿部(とのもり)(天皇の乗輿,宮殿の調度,灯火をつかさどる),水部(もいとり)(供御の清水や氷をつかさどる),掃部(かにもり)(殿内の掃除をつかさどる),門部(かどもり∥かどべ)(宮殿の諸門の守衛をつかさどる),蔵部(くらひと)(内蔵,大蔵の出納をつかさどる),物部(もののべ)・佐伯部(さえきべ)(軍事・警察,刑罰をつかさどる)などがあった。部として,畿内やその周辺に居住する帰化氏族,その他を任ずる錦織部(にしこり∥にしごりべ)(絹織物の生産に従う),衣縫部(きぬぬい∥きぬぬいべ)(衣服の縫製に従う),鍛冶部(かぬち∥かぬちべ)(鉄と兵器の生産に従う),陶作部(すえつくり∥すえつくりべ)(陶器の製作に従う),鞍作部(くらつくり∥くらつくりべ)(馬具の製作に従う),馬飼部(うまかい∥うまかいべ)(馬の飼育に従う)などがあった。このように下部組織を形成する伴や部を〈トモ〉ともいい〈ベ〉ともいうのは,百済の官司の諸部の制度を輸入して朝廷の政治組織を革新したとき,朝廷の記録をつかさどっていた百済の帰化人=史部(ふひと∥ふひとべ)が,本国の習慣に従い,漢語の〈部〉とその字音の〈ベ〉を,日本の〈伴〉の制度に適用したために生じたとみるのが正しいであろう。…
※「鍛冶部」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
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