改訂新版 世界大百科事典 「音声入出力装置」の意味・わかりやすい解説
音声入出力装置 (おんせいにゅうしゅつりょくそうち)
voice input-output device
コンピューターの情報入出力として人間の音声を使用することは,音声認識技術,音声合成技術の進歩によって実用化の道が開かれた。音声認識装置は音声を登録された辞書に基づき単語として認識するので,コンピューターへは認識された単語にあらかじめ割り当てられたコードが入力される。音声が正しく認識されたか否かを確認するため,ディスプレーなどで入力結果をオペレーターに表示し会話的に入力操作を行う必要がある。
音声出力は,単純に単語単位に録音された音声をコンピューター制御で編集して出力するものと,コンピューターが生成した単語を音声合成で出力するものがある。前者は大規模な音声応答システムで多く使用され,音声はドラムに単語あるいは定形文章の単位で録音され,コンピューター制御で文章に編集して再生される。音声合成の場合は,子音,母音,アクセント,イントネーションなどの発声のパラメーターを,単語単位に辞書として作成しておき,出力すべき文章を解析して必要な単語に分解し,辞書を参照して発音パラメーターを作成,音声合成装置に与えて音声として出力する。少数の定形文章を出力する場合は辞書も簡単にできるので,読出し専用メモリーのチップに書き込んで音声合成用LSIチップと組み合わせてマイクロコンピューターの出力装置として使用される。
執筆者:林 英治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報