普及版 字通 「頃(漢字)」の読み・字形・画数・意味
頃
常用漢字 11画
[字訓] かたむく・しばらく・ころ
[説文解字]
[字形] 会意
匕(ひ)+頁(けつ)。匕は右向きの人の形。上より降下する神霊をあらわす。頁は儀容を整えた人の形。その神霊を拝する意。祝詞を奏して人を迎えることを召といい、頃に祝詞((さい))を加えた形は(けい)、神霊の(いた)(詣)ることをいう。その拝する姿勢を頃・(稽)という。金文に稽首を首という。頃は拝して姿勢を傾ける意で、傾の初文。神があらわれるのはしばしの間であるから少頃・頃刻といい、時を示す語となる。〔説文〕八上に「頭正しからざるなり」とするが、神を拝する姿勢である。その姿勢を傾という。
[訓義]
1. かたむく、神を迎えて拝する姿勢。
2. しばらく、しばしの間、やがて。
3. このごろ、ころ。
4. 傾と通じ、身をかたむける。
5. 田のひろさ、百畝を頃という。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕頃 アヒダ・コノゴロ/頃嘗 サイツゴロ/斯頃・何頃・少頃・俄頃・頃來・頃 シバラク 〔立〕頃 アヒダ・シキリ・コノコロ・コロホヒ
[声系]
〔説文〕に頃声として穎・傾・・潁など五字を収める。傾は傾仄、穎も穂がよく実り、傾く意をとるものであろう。
[語系]
頃・傾khiuengは同声。傾は〔説文〕八上に「仄(そく)なり」、仄九下には「側傾なり」とあり、仄はまた(そく)に従う形に作る。は頭を傾けて舞う形である。頃は(稽)首の象。全身を傾けるときは傾という。
[熟語]
頃間▶・頃久▶・頃匡▶・頃筐▶・頃頃▶・頃月▶・頃刻▶・頃歳▶・頃之▶・頃時▶・頃日▶・頃者▶・頃常▶・頃心▶・頃然▶・頃息▶・頃動▶・頃年▶・頃歩▶・頃畝▶・頃来▶
[下接語]
過頃・俄頃・居頃・少頃・食頃・数頃・半頃・百頃
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報