日本歴史地名大系 「風越峠」の解説 風越峠かざこしとうげ 宮城県:石巻市祝田浜風越峠万石(まんごく)浦の渡波(わたのは)水道を越して、万石浦南岸大浜(おおはま)に至り、そこから屈曲した坂道を一挙にせりあがって標高一七一・七メートルの尾根筋に出る。すると眼界にわかに開けて牡鹿(おしか)半島の浦山が一望のもとに集まり、はるかに金華山(きんかさん)や網地(あじ)島(現牡鹿郡牡鹿町)までを見渡す。眼下に見下ろす折浜(おりのはま)まで峠道はすぐまた曲りくねった急坂になる。金華山参詣道の入口に当たるこの急峻な峠を風越峠とよぶ。牡鹿半島(遠島)の全貌を初めて眼のあたりにしたかつての金華山参詣者たちには、南方から吹付ける海風の印象もまた強かったにちがいない。 風越峠かざこしとうげ 長野県:東筑摩郡本城村乱橋村風越峠本城村と四賀(しが)村を結ぶ峠の一つで、虚空蔵(こくぞう)山の東の峠。享保九年(一七二四)の「信府統記」に「会田町ヨリ北、乱レ橋マテ一里九町十九間、此間ニ峠アリ、俗ニ立峠ト称ス、嶮シキ峠ナリ、(中略)乱橋村ヨリ辰巳ノ方原山村ト云所ヘ行路ヲ風越峠ト云フ、此峠路ノ左ニ布引岩ト云アリ、同右ニじやかう岩ト云アリ、所ニテハ当国ノ名所ノ風越是ナリトイヘトモ正説トシガタシ」とある。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報