家庭医学館 「飲酒と健康障害」の解説
いんしゅとけんこうしょうがい【飲酒と健康障害】
■急性アルコール中毒
飲酒による問題行動(所かまわず眠り込む、暴れるなど)が生じます。ろれつが回らない、判断力や注意力の著しい低下などをともないます。
■慢性アルコール臓器障害
血液中に入ったアルコールの90%は肝臓で代謝されるので、肝臓が障害を受ける頻度が高くなっています。
そのほか、糖尿病、胃腸病、虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)(狭心症(きょうしんしょう)・心筋梗塞(しんきんこうそく))、高血圧、造血器障害(貧血など)、大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)、末梢神経障害(まっしょうしんけいしょうがい)などを発症させる誘因となります。
■アルコール精神障害
振戦(しんせん)せん妄(もう)、アルコール幻覚症、コルサコフ精神病、アルコールによる認知症、アルコール嫉妬妄想(しっともうそう)などのいろいろな病態があります。
■アルコール依存症
飲酒をやめられない状態で、アルコール臓器障害やアルコール精神障害をともなうことが少なくありません。
●アルコールの健康障害と対策
アルコールを常用している人は、週2日「休肝日(きゅうかんび)」を設けるなど、飲み方を適正にするのが第一です。
思い悩んだときは、精神保健福祉センターや保健所に相談します。相談指導、適切な医療機関の紹介などのサービスが受けられます。専門病棟への入院が必要なこともあります。
まず、本人のアルコールを断つという意識が必要です。自助組織の断酒会(コラム「AA(酒害者匿名会)/断酒会」)への入会が効果をあげることもあります。
身近にいて、飲酒を許容する人をイネイブラーといい、こうした人への教育などが必要なこともあります。