香取庄(読み)かとりのしよう

日本歴史地名大系 「香取庄」の解説

香取庄
かとりのしよう

鹿取庄とも書く。荘名から香取村を中心とすると思われるが、その立荘経過・荘域などは不明である。「権記」長保二年(一〇〇〇)七月二一日条に「左少弁(告カ)自内府召有、即参、被命云、伊勢国鹿取庄代々相伝之処公験明白也、本作田非幾、而国司愁申於公家云、庄司等請作公田百六十町、不弁所当官物(下略)」とあり、この鹿取庄は内大臣藤原公季の代々相伝の荘園であるが、荘司らが公田を請作しながら、官物を納めないという国司の訴えがあったことがわかる。一一世紀末より一三世紀中葉頃まで、益田ますだ(現桑名市)との境相論が続いている。宝治二年(一二四八)一一月日の某申状案(近衛家文書)によれば、相論の経過は以下のごとくである。

応徳二年(一〇八五)四月三日付の桑名郡在庁官人検注言上状などによれば、緑谷・島々の開発予定地をめぐって相論があり、在庁官人・郡司らが御使とともに巡検し、絵図の北界を確かめ、益田庄内であることを報告している。永暦元年(一一六〇)八月二七日付伊勢益田庄下司員部茂助訴状によれば、嘉保三年(一〇九六)の地震によって水没した真目賀嶋・今嶋が再び陸地となり、益田庄荘民が開作したところ、鹿取・野代のしろ両庄の住人が押作したため、益田庄がこれを訴えた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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