香宗我部郷(読み)こうそがべごう

日本歴史地名大系 「香宗我部郷」の解説

香宗我部郷
こうそがべごう

和名抄」にみえる古代の宗我そがべ郷を継承した中世の郷。国衙領であったが、のち荘園と同様の経過をたどる。

建久四年(一一九三)六月九日付の将軍家政所下文(香宗我部家伝証文)に「土左国香美郡内宗我部并深淵」の地頭職に中原秋家が補されたことがみえる。中原秋家は武田信義の子一条忠頼の家臣で、本姓は大中臣であるが甲斐小四郎秋家ともいわれる。忠頼が源頼朝に誅された時、歌舞曲に巧みの故をもって召出され(「吾妻鏡」元暦元年六月一八日条)、ついに宗我部そがべ深淵ふかぶち両郷地頭となったのである。彼は主人忠頼の遺子秋通を後見して土佐に下った。建仁元年(一二〇一)七月一〇日付北条時政書状(香宗我部家伝証文)に初めて「香宗我部郷」とみえ、深淵・香宗我部両郷住民のなかに地頭の下知に応じない者がいるとして、中原秋通が幕府に訴え、北条時政は土佐守護豊島右馬允を通じて地頭の権利行使が徹底されるよう取計らっている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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