馬入渡(読み)ばにゆうのわたし

日本歴史地名大系 「馬入渡」の解説

馬入渡
ばにゆうのわたし

馬入村と相模川対岸の高座こうざ中島なかじま(現茅ヶ崎市)を結ぶ東海道の渡し。現在の国鉄東海道本線相模川鉄橋と国道一号馬入橋との間のほぼ中央にあった。幅は約七〇間という(風土記稿)。「吾妻鏡」文治四年(一一八八)正月二〇日条に、源頼朝が伊豆・箱根・三嶋社などへ参詣した際三浦介義澄が相模川に浮橋を構えたとあるのは当渡の辺りか。南北朝内乱開始直後の建武二年(一三三五)一〇月九日に、足利尊氏の命により、北条氏残党攻撃のため侍所代官らが「相模乃はんにう」へ出陣している(同年一〇月二〇日「三浦和田茂実著到状」県史三)

慶長六年(一六〇一)の東海道宿駅制定以前は五町ほど川上を渡っていたとされる(風土記稿)。同一六年一〇月、徳川家康鷹狩のため中原なかはら御殿に逗留し、同月一二日相模川辺まで行ったところ雨により川を越えることができず中原へ帰還したとあり(同書)、流れが急で雨の際の川越えは困難だったらしい。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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