馮夢竜(読み)フウボウリュウ(英語表記)Féng Mèng lóng

デジタル大辞泉 「馮夢竜」の意味・読み・例文・類語

ふう‐ぼうりゅう【馮夢竜】

[1574~1645]中国、明末の文人。呉県(江蘇省)の人。あざな猶竜ゆうりゅうまた耳猶じゆう。号は墨憨子ぼくかんしなど。短編小説集「三言」、笑話集「笑府」などの編者。ひゅうむりゅう。ふうぼうりょう。

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精選版 日本国語大辞典 「馮夢竜」の意味・読み・例文・類語

ふう‐ぼうりゅう【馮夢龍】

  1. 中国、明末の文人。呉県(江蘇省)の人。字は猶龍また耳猶。号は墨憨子など。短編小説集「三言」、笑話集「笑府」などの編者。ふうむりゅう。ひょうむりゅう。(一五七四‐一六四六

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改訂新版 世界大百科事典 「馮夢竜」の意味・わかりやすい解説

馮夢竜 (ふうぼうりゅう)
Féng Mèng lóng
生没年:1574-1646

中国,明代の文学者。〈ふうむりゅう〉〈ふうぼうりょう〉とも読まれる。字は猶竜または子猶,号は墨憨子,顧曲散人など多数。蘇州の人。明代後期の蘇州を中心とする江南地帯では,商業経済の発達による市民階層の台頭が見られ,戯曲,小説など従来等閑視されていた分野を評価する新しい文学運動が起きたが,彼はその運動の中心的人物の一人である。作品には,宋・元以来の短編小説を編集した《喩世明言》《警世通言》《醒世恒言》の《三言》(三言二拍),前人の作品を増補した《新列国志》《平妖伝》,戯曲集の《墨憨斎伝奇》,民間の歌謡を整理した《掛枝児》《山歌》のほか,《智囊(ちのう)》《笑府》《情史》などがある。その文学活動は多彩豊富であるが,通俗文学,民間文学の紹介顕揚を通じて,社会の教化を意図した点に特色がある。彼は当時の出版業者と密接な関係にあり,また知識人の結社である〈復社〉の一員でもあった。官吏としては寿寧県(福建省)の知事となり,明滅亡に際しては,清朝への抵抗運動に参加したが,動乱の最中73歳で没した。
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世界大百科事典(旧版)内の馮夢竜の言及

【馮夢竜】より

…中国,明代の文学者。〈ふうむりゅう〉〈ふうぼうりょう〉とも読まれる。字は猶竜または子猶,号は墨憨子,顧曲散人など多数。蘇州の人。明代後期の蘇州を中心とする江南地帯では,商業経済の発達による市民階層の台頭が見られ,戯曲,小説など従来等閑視されていた分野を評価する新しい文学運動が起きたが,彼はその運動の中心的人物の一人である。作品には,宋・元以来の短編小説を編集した《喩世明言》《警世通言》《醒世恒言》の《三言》(三言二拍),前人の作品を増補した《新列国志》《平妖伝》,戯曲集の《墨憨斎伝奇》,民間の歌謡を整理した《掛枝児》《山歌》のほか,《智囊(ちのう)》《笑府》《情史》などがある。…

【三言二拍】より

…中国,明代末期(17世紀前半)に出版された五つの口語体短編小説集の総称。すなわち馮夢竜(ふうぼうりゆう)編の《喩世明言》(原題は《古今小説》),《警世通言》《醒世恒言》の〈三言〉と,凌濛初(りようもうしよ)編の《初刻拍案驚奇》《二刻拍案驚奇》の〈二拍〉とを言う。各書とも40巻,計200巻。…

【平妖伝】より

…北宋の1047年(慶暦7)に貝州(河北省)で起きた王則(?‐1048)の宗教的反乱を題材とするが,内容はファンタスティックで荒唐無稽なものである。もと講談であったものを,元末の羅貫中がまとめたとされる20回本と,それを明末の馮夢竜(ふうぼうりゆう)が増訂した40回本の2種類のテキストがあり,清代以降は,もっぱら後者が行われた。日本では,寛政年間(1789‐1801)に部分訳である《通俗平妖伝》が出たほか,滝沢馬琴は本書を愛読したことで知られる。…

※「馮夢竜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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