日本大百科全書(ニッポニカ) 「馮至」の意味・わかりやすい解説
馮至
ふうし / フォンチー
(1905―1993)
中国の詩人。ドイツ文学者。河北省涿(たく)県の人。16歳から詩作を始め、『創造季刊』誌上にデビュー。叙情詩人として魯迅(ろじん)から最高度の賛辞を受けた。詩集『昨日の歌』(1927)、『北遊其他』(1929)を刊行後ドイツに留学。抗日戦後期には西南連合大学で教鞭(きょうべん)をとるかたわら沈潜思索、『十四行集(ソネット)』(1942)を出す。1956年共産党に入り、『西郊集』(1958)で詩風一転した。『杜甫(とほ)伝』(1952。邦訳名『杜甫 詩と生涯』)やハイネの翻訳、『ゲーテ論』もあり、ゲーテ賞(1983)、グリム兄弟文学賞(1985)などを得ている。北京(ペキン)大学教授、社会科学院外国文学研究所所長などを経て、83年同研究所名誉所長、85年中国作家協会副主席。
[木山英雄]