高質(読み)こうじち

精選版 日本国語大辞典 「高質」の意味・読み・例文・類語

こう‐じちカウ‥【高質】

  1. 〘 名詞 〙 債権者債務者に対して強制的に質取すること。
    1. [初出の実例]「雖何ケ度、彼用途相当程可見合高質物者也」(出典菅浦文書‐嘉元三年(1305)二月一二日・菅浦村人等連署借状)
    2. 「見合ひのかうしちをもとられ申候へく候」(出典:東寺百合文書‐を・応永五年(1398)一一月三日・浄密等連署畠地請文)

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改訂新版 世界大百科事典 「高質」の意味・わかりやすい解説

高質 (こうじち)

中世社会の貸借関係において,債権者が債務者の債務不履行の際,その動産を私的に差し押さえる行為を高質をとるという。年貢・公事などの請負契約において,滞納にもとづく差押え行為にももちいられるが,一般的には借状・出挙状などの担保文言に多くみられる。これらの貸借契約状には,契約不履行の場合,債務額に相当するものを,債権者が債務者を見つけしだい,市場,湊,路次,権門勢家の領内など,いかなる場所であっても高質としてとってもかまわない旨の担保文言が記されるものがある。高質という言葉の意味は,債務額をこえる差押え物が原義とされているが,これらの担保文言には債務額に相当する高質という文句慣用句となっており,この説は妥当とはいえない。むしろ高質とは,〈高値の質馬を押え取る〉とあるように,当時一般的に質物としてとることが認められにくい馬・牛,さらには妻子という〈高値の質物〉をさす言葉であったと思われる。
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