鯨伏郷(読み)いさふしごう

日本歴史地名大系 「鯨伏郷」の解説

鯨伏郷
いさふしごう

和名抄」に記載される郷。同書高山寺本をはじめ諸本とも訓を欠くが、中世伊佐布志いさふし郷があることから(観応二年一二月二五日「足利直冬下文」来島文書)、イサフシであろう。「壱岐国風土記」逸文(「万葉集注釈」巻三)によれば、壱岐郡の西にあり、鰐に追われた鯨が隠れ伏し、ともに化石になったという。鯨伏は江戸時代まで村名としてみえ、のち住吉すみよし村となり、現在の芦辺あしべ住吉後触すみよしうしろふれにあたる。


鯨伏郷
いさふしごう

壱岐国にみえる中世の郷名。「和名抄」に記される壱岐郡鯨伏郷の郷名を継承する。現芦辺住吉すみよしおよび勝本かつもと立石仲触たていしなかふれ地区などに比定される。文永一一年(一二七四)一〇月一四日の申刻にモンゴル軍が上陸した壱岐島の地は鯨伏、香椎かしい(現勝本町)の辺りとされる(長崎県史)。観応二年(一三五一)一二月二五日の足利直冬下文(来島文書)に「壱岐島伊佐布志郷」とみえ、おお(現大島村)を拠点とする松浦大島小次郎聞が勲功の地である壱岐長島次郎跡および筑前国山田又三郎跡の替地として、伊佐布志郷内の大河野孫三郎入道跡畠地五ヵ所、同じく郷内の賀世井田七郎跡三段などが宛行われている。正平二四年(一三六九)の壱岐神領図(壱岐史拾遺)では住吉大神の社領として「鯨伏郷」の九四町がみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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