日本の城がわかる事典 「鷺山城」の解説 さぎやまじょう【鷺山城】 岐阜県岐阜市にあった山城(やまじろ)。稲葉山城(のちの岐阜城、同市)から見下ろすことのできる標高68m・比高約47mの鷺山の山頂に築かれていた、斎藤道三(利政)の隠居城としても知られる城である。平安時代末期の文治年間(1185~90年)、佐竹秀義によって築かれた。室町時代に入り、美濃国の守護大名土岐氏の居城となったが、1353年(文和2)に新たに築かれた川手城に居城を移したことから、鷺山城は衰退した。永正年間(1504~20年)、土岐頼芸が鷺山城を再興し、第11代の美濃国守護として川手城(岐阜市)に入城するまで居城とした。1530年(享禄3)、斎藤利政は土岐頼芸を追放して美濃を領有したが、居城の稲葉山城を拠点としたことから、鷺山城は再び衰退した。1548年(天文17)、利政は家督を嫡子の義龍へ譲り、剃髪して道三を号し、鷺山城を改修して、居城を鷺山城に移した。嫡子義龍はこの道三の行動を義龍の弟の斎藤龍重・龍定に家督を譲る準備と勘違いをして、道三を鷺山城から追放し、1556年(弘治2)には長良川の戦いで道三を討ち取った。この戦いの後、鷺山城は廃城となった。1964年(昭和39)、東海道新幹線や名神高速道路の建設用の土砂を採取するため、鷺山城があった鷺山の一部が削り取られたが、このとき、鷺山城の礎石と思われる石が発見された。鷺山は大きく削られたものの城跡は保存され、土塁、堀などの遺構が現存している。JR東海道本線岐阜駅から岐南町線バス、さぎ山小学校前下車後、徒歩約1分。 出典 講談社日本の城がわかる事典について 情報