(読み)とう

精選版 日本国語大辞典 「鼗」の意味・読み・例文・類語

とうタウ【&JISFCE0;・

  1. 〘 名詞 〙 中国、朝鮮、日本の膜鳴(まくめい)楽器。ふりつづみの一種。中国での起源は古く、漢代以後雅楽に用いられ、朝鮮、日本でも雅楽で使用。小型の丸胴両面鼓に柄を差し通し、柄を回して、胴に結びつけた二本のひもの先端の球で皮面を打ち鳴らす。日本の玩具「でんでんだいこ」はその通俗化したもの。二個の胴をもつものを路鼗、三個のものを雷鼗、四個のものを霊鼗という。
    1. 鼗〈旧李王家蔵〉
      鼗〈旧李王家蔵〉

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改訂新版 世界大百科事典 「鼗」の意味・わかりやすい解説

鼗 (とう)

中国,朝鮮,日本の太鼓の一種。鞉,鞀とも書き,中国では鞉牢とも記した。日本では鞀鼓と記したこともあるが,振鼓(ふりつづみ),でんでん太鼓ともいう。小型の丸胴の両面太鼓に柄を差し通し,胴に結びつけた短い2本のひもの先端に小さい球をつけて,柄を回して球で革面を打ち鳴らす。二つの胴を上下に重ねた4革面のものを路鼗,三つのものを雷鼗,四つのものを霊鼗という。中国では《礼記(らいき)》《論語》などの文献に記されており,漢以後近年まで雅楽に使用された。また唐代以後歴朝の宮廷燕饗楽にも用いられたが,唐代には鼗は鶏婁鼓(けいろうこ)とともに用いられ,左手で鼗を振り鳴らし,鶏婁鼓を左脇下に革面を前にして抱え,あるいは腹の前に横に向けて支えて右手の桴(ばち)で打った。日本には奈良時代に唐楽の楽器として伝わり,舞楽用の振鼓として鶏婁鼓とともに用いられた。
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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【振鼓】より

…(1)雅楽で用いる膜鳴楽器。中国の(とう)の日本での呼び名。古くは,宮中での追儺(ついな)や田楽などでも用いられた。…

※「鼗」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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