塩化チオホスホリル(読み)エンカチオホスホリル

化学辞典 第2版 「塩化チオホスホリル」の解説

塩化チオホスホリル
エンカチオホスホリル
thiophosphoryl chloride

PSCl3(169.40).チオ塩化リン(phosphorus thiochloride)ともいう.五塩化リンPCl5と五硫化二リンP2S5とを混合加熱すると得られる.工業的には,塩化アルミニウム触媒下での三塩化リンと硫黄との反応で得られる.室温では無色の発煙性の液体.分子はP中心の四面体型構造で,P-S1.88 Å,P-Cl2.01 Å.∠Cl-P-Cl101.8°.固体にはα,βの2形があり,各融点はα形-40.8 ℃.β形-36.2 ℃.沸点125 ℃.密度1.63 g cm-3.CCl4,CS2,CHCl3などに可溶.水では徐々に加水分解して,H2S,リン酸塩酸を生じる.NaOH水溶液では分解が速く,モノチオリン酸ナトリウムNa3PO3Sになる.殺虫剤,油添加剤などの製造に用いられる.蒸気は眼を刺激する.有毒.[CAS 3982-91-0]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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