持続可能な開発目標(読み)ジゾクカノウナカイハツモクヒョウ(その他表記)Sustainable Development Goals

デジタル大辞泉 「持続可能な開発目標」の意味・読み・例文・類語

じぞくかのうな‐かいはつもくひょう〔ヂゾクカノウなカイハツモクヘウ〕【持続可能な開発目標】

2015年に達成期限を迎えるミレニアム開発目標後継となる、環境と開発問題に関する新たな世界目標。2012年6月の国連持続可能な開発会議リオ+20)で策定開始が合意された。持続的開発目標。SDGsエスディージーズ(Sustainable Development Goals)。
[補説]SDGグローバル指標(外務省プラットフォームより)
1:貧困をなくそう
2:飢餓をゼロに
3:すべての人に健康と福祉を
4:質の高い教育をみんなに
5:ジェンダー平等を実現しよう
6:安全な水とトイレを世界中に
7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8:働きがいも経済成長
9:産業と技術革新の基盤をつくろう
10:人や国の不平等をなくそう
11:住み続けられるまちづくり
12:つくる責任 つかう責任
13:気候変動に具体的な対策を
14:海の豊かさを守ろう
15:陸の豊かさも守ろう
16:平和と公正をすべての人に
17:パートナーシップで目標を達成しよう

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共同通信ニュース用語解説 「持続可能な開発目標」の解説

持続可能な開発目標(SDGs)

持続可能で多様性のある社会実現のため、国連に加盟する全193カ国が2030年までに達成を目指す共通目標。15年の国連サミットで採択された。貧困と飢餓の撲滅、教育普及、ジェンダー平等など17分野で計169項目の目標を掲げる。国連は今年6月、評価できた135項目のうち「達成、もしくは順調」と判断されたのは17%にとどまると指摘した。昨年は15%だった。(ニューヨーク共同)

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知恵蔵 「持続可能な開発目標」の解説

持続可能な開発目標

人々が地球環境や気候変動に配慮しながら、持続可能な暮らしをするために取り組むべき世界共通の行動目標。国際連合に加盟する全193カ国が合意し、2015年9月の国連総会で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で掲げられている。貧困の解消や環境保全、格差の是正など17の目標と、169の関連付けられたターゲットからなる。2030年までの達成を目指して、16年に正式に発効した。17年には、国連総会で、ターゲットの進ちょく状況を測定するための具体的な数値などを示した全244(重複を除くと232)からなる指標枠組みが承認された。持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)を略して「SDGs」ともいう。
「持続可能な開発」とは、1987年、国連の「環境と開発に関する世界委員会」が発表した報告書の中で示した「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」のことをいう。
SDGsは、貧困の撲滅などを目指し、2001年にまとめられた「ミレニアム開発目標」(Millennium Development Goals: MDGs)が、15年に未達成の分野を残したまま期限となったことから、その後継として設定された。貧困の撲滅やジェンダーの平等といったMDGsの目標に加え、環境問題グローバル化に伴う問題への対応などが盛り込まれている。また、途上国の開発を目的としたMDGsとは異なり、SDGsは、すべての国を対象としている。
SDGsの17分野とは、(1)貧困の根絶、(2)飢餓の撲滅、(3)健康と福祉の促進、(4)質の高い教育の実現、(5)ジェンダー平等、(6)適切な水の利用と管理、(7)再生可能エネルギーの利用、(8)生産的で、働きがいのある雇用の促進、(9)強じんなインフラと持続可能な産業、(10)国内・国際間の不平等の是正、(11)持続可能なまちづくり、(12)持続可能な生産と消費、(13)気候変動への対策、(14)海洋資源の保全、(15)陸域生態系と森林資源の保全、(16)平和で包括的な社会の促進、(17)グローバル・パートナーシップによる目標達成、をいう。各分野には、 (1)貧困の根絶では「あらゆる次元の貧困状態にあるすべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減」など、(3)健康と福祉の促進では「世界の妊産婦の死亡率を出生10万人あたり70人未満に削減」「非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させる」など、(13)気候変動への対策では「すべての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強じん性および適応の能力を強化」などというように、それぞれターゲットが設定されている。
SDGsの達成を目指し、世界各国で様々な取り組みが行われている。日本は16年、安倍晋三首相を本部長とする「SDGs推進本部」を設置し、12月に推進に向けた体制づくりや、民間企業や団体、消費者との連携などをうたった実施指針を決定した。17年以降は、主要な施策をまとめた「SDGs アクションプラン」を定期的に策定する、SDGs達成に向けて取り組む自治体を「SDGs未来都市」に選定するなどの取り組みを進めている。2020年の東京五輪・パラリンピックでも、競技会場の敷地内の完全禁煙やリサイクル素材を使ったメダルの製造などSDGsに配慮する。
また、NPOや民間企業、自治体などでも、食品ロスの削減対策や二酸化炭素の排出削減などの環境対策、店舗の営業時間短縮といった働き方改革、SDGsの目標を反映させた事業評価導入など、SDGsを意識した取り組みが広がっている。
ドイツのベルテルスマン財団と国際団体の持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が19年6月に発表した世界の国別SDGsの達成状況ランキングでは、日本は前年と同じ15位。首位はデンマーク、続いてスウェーデン、フィンランドと北欧の国々が上位3カ国を独占した。日本は100点満点中78・9点で、「質の高い教育」と「強じんなインフラと持続可能な産業」の2分野で目標に到達したと評価され、「ジェンダー平等」や「気候変動への対策」など4分野が課題として挙げられた。

(南 文枝 ライター/2020年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「持続可能な開発目標」の意味・わかりやすい解説

持続可能な開発目標
じぞくかのうなかいはつもくひょう
Sustainable Development Goals; SDGs

2015年9月にアメリカ合衆国の国連本部で開催された「国連持続可能な開発サミット」において採択された,「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で掲げられた目標。2000年採択のミレニアム開発目標 MDGsの後継として,貧困や不平等のない,気候変動に対応した持続可能な社会実現のため,各国が 2030年までに達成すべき行動計画を示している。発展途上国だけでなく先進国も含めたすべての国際連合加盟国が達成すべき目標として,全会一致で採択された。内容は,17のゴール(目標)と 169のターゲット(具体的目標)からなる。17の目標はそれぞれ,貧困や飢餓,エネルギー,気候変動などの分野に分かれており,さらに各目標ごとに「現在 1日 1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる」「飢餓を撲滅し,すべての人々,特に貧困層および幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする」「世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる」「すべての国々において,気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)および適応の能力を強化する」「2030年までに,すべての人々の,安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスを達成する」(→水危機)といった 169の具体的な目標が立てられている。目標に法的な拘束力はないが,各国政府は当事者意識をもって,目標達成に向けた国内的枠組みを確立するよう求められている。(→持続可能な開発

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