蛇目(読み)じゃのめ

精選版 日本国語大辞典 「蛇目」の意味・読み・例文・類語

じゃ‐の‐め【蛇目】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ヘビの目。また、そのようないじわるな目つき。冷酷そうな目つき。じっと見すえるような鋭い目つき。
    1. [初出の実例]「蛇の目かと見るや蛍のひだか河〈正泰〉」(出典:俳諧・詞林金玉集(1679)八)
  3. ヘビの目のように、太い輪のかたちをした図形蛇の目輪。
    1. (イ) 紋所の名。蛇の目、三つ剣蛇の目、九曜蛇の目、捻蛇の目、三つ蛇の目などがある。
      1. 蛇の目@三つ剣蛇の目
        蛇の目@三つ剣蛇の目
      2. [初出の実例]「雲の袖の蛇の目の紋か月の笠〈心計〉」(出典:俳諧・続山の井(1667)秋上)
    2. (ロ) 一般的に模様についていう。
      1. [初出の実例]「雰の海蛇の目の舟を漕(こぎ)よせて 只見て遊山酒すきの友」(出典俳諧・西鶴大矢数(1681)第二六)
      2. 「水の面にぽつりと一つ雨点の落ちて蛇(ジャ)の目(メ)を画くと思へば」(出典:自然と人生(1900)〈徳富蘆花〉写生帖)
    3. (ハ) 旧海軍士官の袖につけた印。
  4. じゃのめがさ(蛇目傘)」の略。
    1. [初出の実例]「お身の傘(からかさ)を見やれ。蛇(シャ)の目とやらんいふて」(出典:談義本・教訓不弁舌(1754)四)
    2. 「あめあめふれふれ、かあさんが、じゃのめでおむかひ、うれしいな」(出典:童謡・あめふり(1925)〈北原白秋〉)
  5. じゃのめまわし(蛇目回)」の略。
  6. じゃのめずし(蛇目鮓)」の略。
    1. [初出の実例]「きつい事蛇の目の出はに加藤ふし」(出典:雑俳・柳多留‐六四(1813))
  7. 建築で、輪形金具をいう。たとえば肘壺(ひじつぼ)の間に摩擦をへらすために挿入する輪など。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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